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2014 年度 実施状況報告書

なぜクマは冬眠中に骨格筋が萎縮しないのか?ー冬眠中の筋蛋白同化/異化様式の解明ー

研究課題

研究課題/領域番号 26850205
研究機関北海道大学

研究代表者

下鶴 倫人  北海道大学, (連合)獣医学研究科, 准教授 (50507168)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード冬眠 / クマ / エネルギー代謝 / 骨格筋
研究実績の概要

クマ類は冬眠中、長期の絶食状態および不活動状態であるにもかかわらず、骨格筋の萎縮がほとんど生じないという驚くべき仕組みを有している。本研究ではなぜこのことが可能であるのかを知るため、冬眠中のツキノワグマにおける筋タンパク合成/分解メカニズムの変化を明らかにすることを目的としている。平成26年度は以下の研究を実施した。
1.メタボローム解析による冬眠中の骨格筋における代謝プロファイルの解明:クマを麻酔により不動化し、外側広筋より組織を採取した。得られた組織は急速冷凍し、―80℃にて保管した。サンプリングは成獣メスツキノワグマ5個体を対象とし、冬眠中盤時期である2月に実施した。比較対象として、クマの活動期に該当する6月(平成27年)に同一個体よりサンプリングを実施し、メタボローム解析による代謝プロファイルの比較を行う予定である。
2.筋タンパク合成/分解に関わるシグナル伝達機構の解析:これまでに採取した骨格筋サンプルを用いて、エネルギー代謝および筋タンパク合成/分解経路に関わる因子のmRNA遺伝子発現量をリアルタイムPCR法を用いて解析した。その結果、冬眠中の骨格筋ではアラニンアミノ基転移酵素やグルタミン酸デヒドロゲナーゼなどのアミノ酸分解に関わる酵素発現量が低下していることが明らかになった。また、骨格筋における主要な筋タンパク分解経路であるユビキチン・プロテアソーム系に関わる因子群の一部(atrogin-1およびMuRF1)が冬眠中に有意に低下していた。このように冬眠中の骨格筋では筋タンパク分解を防ぐ機構が働いていることが明らかとなった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

これまでに採取した骨格筋サンプルを用いた解析から、冬眠中のエネルギー代謝および筋タンパク合成/分解に関わる因子の遺伝子発現変化を明らかにできた。また冬眠中のクマ5個体より新たに骨格筋を採取し、メタボローム解析に使用するサンプルを得ることができた。これらのことから、研究は順調に進展しているものと判断した。

今後の研究の推進方策

平成27年6月において、平成26年度冬眠中に使用したクマと同一個体より骨格筋を採取する。得られた組織をメタボローム解析に供試し、冬眠中の骨格筋における代謝プロファイルの変化を明らかにする予定である。また得られた結果をもとに、代謝変化の鍵を握っていると思われる因子に焦点を当て、遺伝子およびタンパク質発現量の解析を実施する予定である。

次年度使用額が生じた理由

本年度実施する予定であったメタボローム解析を平成27年6月のサンプリング後に実施することとなったため、使用予定額(約160万円)を次年度に繰り越した。

次年度使用額の使用計画

平成27年度は、メタボローム解析費用として約200万円を、研究の実施場所である阿仁クマ牧場への旅費(合計4回のサンプリングを実施予定)として約30万円を、遺伝子解析等に用いる消耗品費として約30万円を、成果発表費(学会参加および論文発表)として約17万円を使用する予定である。

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公開日: 2016-06-01  

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