研究課題
幼若ホルモンセンサーを発現させ、蛍光シグナルを得ることが本課題の目的であるが、主に1)培養細胞レベル 2)昆虫生体レベルの二段階で検証を行った。1)の細胞レベルにおける応答では、膜局在型バイオセンサーを用いたことで、シグナル値の変化を得ることができた。細胞質局在もしくは核局在型では、幼若ホルモンJH添加した場合においても、その検出は困難であった。その理由として、センサーの感度が挙げられる。本センサーは改良の結果JH IIIで300 nMの結合定数であったことから、応答できる閾値に達しなかった可能性が考えられた。細胞膜局在型では、細胞膜外リンカーと細胞膜内リンカーを介した二種類の発現が可能である。どちらのタイプのセンサーでも微弱ながらJH添加時に対する応答が検出できたことから、JHは細胞膜を透過し、細胞内に輸送されることが示された。またセンサーには感度とは別にリガンド結合・乖離時における可逆性が問題であった。本手法では、蛍光変化の瞬間をリアルタイムに捉えることでJHを可視・定量化できるツールである。時間経過に伴い、蛍光変化が認められればセンサーは可逆的に稼働すると考えられるがその変化は示されなかった。すなわち、現状のセンサーを昆虫生体に導入しても、非侵襲ではないので成長に応じた個体への影響が考えられた。こうしたセンサーの改良は今後の課題である。2)カイコ幼虫への一過的な遺伝子導入は達成できた。piEX4ベクターはAcNPV由来プロモーターとエンハンサーで制御されるため高発現が期待されたが、蛍光シグナルは細胞質局在型センサーでも微弱であった。今後は標的組織を限定的に、高倍率条件下でシグナルを検出できるようにin vivoイメージング系の改良が望まれる。交付申請書に記載した当初の予定は概ね達成したといえる。
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Bioscience, Biotechnology, and Biochemistry
巻: 80 ページ: 162-165
DOI:10.1080/09168451.2015.1069699