研究課題
平成26年度はまず、ウイルス内在種アリと非内在種アリを用いて、継代飼育法の開発を行った。実験にはウメマツオオアリ亜属のうちウイルス内在種アリとしてヤマヨツボシオオアリ、非内在種アリとしてナワヨツボシオオアリとウメマツオオアリを用いた。まず、各種のコロニーから女王アリを取り除き、未交尾女王とオスアリの生産を促進した。その結果、ナワヨツボシオオアリとウメマツオオアリでは女王アリ除去後、約一カ月で交尾女王とオスアリが生産された。ヤマヨツボシオオアリでは、女王除去処理による未交尾女王とオスアリの顕著な生産促進は観察されなかった。次にナワヨツボシオオアリ・ウメマツオオアリを用いて、複数の無女王コロニーを同一ケージ内に入れ、生産された未交尾女王とオスアリ間における交尾が起こるかを観察した。その結果、両種共に脱翅女王が観察され、ケージ内にて交尾が起きたことが示唆された。ただし、ケージ内において同種コロニー間の闘争が起き、脱翅女王が見られる確率も非常に低いことから、方法には更なる改良が必要であると考えられる。またワーカーによるオスアリの生産を詳細に観察するため、ナワヨツボシオオアリを用いて40匹のワーカーのみからなるコロニーを作成し、25℃短日・中日・長日条件下で飼育した。その結果、日長による差は見られたものの、オスアリ成虫の生産までに約半年が必要であり、オスアリの生産にはワーカーの存在以外にコロニー由来の何らかの要因が必要であることが示唆された。次にナワヨツボシオオアリ・ウメマツオオアリ・イトウオオアリのワーカー各4匹の腹部に、ヤマヨツボシオオアリのワーカーから作成したウイルス液を注入し、約半年間飼育後にリアルタイムPCRにより、ウイルスの有無を確認した。その結果、各種のワーカーからウイルスは検出されなかった。本解析については、サンプル数が少ないことから再度、解析を行う予定である。
2: おおむね順調に進展している
平成26年度の研究計画では、ウイルス内在種アリと非内在種アリの継代飼育法の開発、および、ウイルス非内在種アリへのウイルス接種を行うこととしていた。結果については当初の予想と異なる点も多々あるが、予定していた2つの実験を遂行することができているため、おおむね順調に進展していると言える。
まだ方法に改善の余地があるものの、ウイルス非内在種アリへのウイルス感染は困難である可能性が高い。そのため、ウイルス内在種アリからのウイルス除去を目指す。そのため、平成27年度は、ウイルス内在種であるヤマヨツボシオオアリへの薬剤接種を主として行う。
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Journal of General Virology
巻: 未定 ページ: 未定
10.1099/vir.0.000126