研究課題/領域番号 |
26850217
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
小山 哲史 東京農工大学, (連合)農学研究科(研究院), 助教 (10549637)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 内在性ウイルス / ウイルス除去 / 多女王制 |
研究実績の概要 |
平成27年度は各種薬剤を用いてヤマヨツボシオオアリからのウイルスの除去を行った。そのために、女王1匹、大型ワーカー3匹、小型ワーカー10匹からなるヤマヨツボシオオアリの実験コロニーを作成した。このコロニーにシクロヘキシミド、グアニジン塩酸塩、クロラムフェニコールの各試薬をショ糖液に希釈し、各3段階の濃度で投与した。しかしこれらの処理の結果、すべての処理群でコロニーが死滅してしまった。この結果はウイルス除去のための試薬の毒性に宿主アリが耐えられなかったために起きたと考えられるが、コントロール群の死滅も観察されたため、飼育上の失宜の可能性も考えられた。そこで、各試薬について1濃度ずつで再度投与実験を行っている。最初の実験におけるコロニー死滅の原因としてコロニーサイズが小さすぎた可能性があるため、再実験では自然条件下から採取した巣を1コロニーとして、1コロニーあたり百匹程度のワーカーが含まれるコロニーを使用している。 また、ヤマヨツボシオオアリコロニーに対する高温処理を行った。そのためにまずヤマヨツボシオオアリの生存可能温度と生存時間を測定するため、35℃で飼育を続けたところ、1週間でコロニーが死滅した。そのため本種は35℃、1週間の飼育が限界であることが分かった。そこで当該条件の飼育を行った後、RTリアルタイムPCR法によりウイルスのゲノムの有無を確認した。その結果、処置後のアリからウイルスゲノムが検出され、高温処理によるウイルス除去作用は確認できなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
平成27年度はヤマヨツボシオオアリからのウイルスの除去を行う予定であり、実際に真菌においてウイルス除去作用が報告されている試薬を用いてウイルスの除去を行った。しかし、当初の予想とは異なり、ヤマヨツボシオオアリが死滅してしまった。現在、同様の処理を再度行っているが、以上の理由から研究の進展がやや遅れている。
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今後の研究の推進方策 |
平成28年度は、平成27年度から引き続いて、ウイルス除去処理群の作成を行う。現在、ヤマヨツボシオオアリコロニーにシクロヘキシミド、グアニジン塩酸塩、クロラムフェニコールの各試薬をショ糖液に希釈して投与しており、この処理を継続する。 一定期間、処理を継続した後にリアルタイムRT-PCR法により、処理群におけるウイルスゲノムの有無を確認する。ウイルスの除去が確認された場合は、コントロール群と行動を比較し、ウイルスによる宿主アリへの影響を解明する。
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次年度使用額が生じた理由 |
平成27年度に前倒し払い請求を行い、微量分光光度計を購入したが、その際に業者による割引が生じたため。
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次年度使用額の使用計画 |
平成28年度に試薬購入費として使用する予定である。
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