研究課題/領域番号 |
26850221
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研究機関 | 和歌山大学 |
研究代表者 |
原 祐二 和歌山大学, システム工学部, 准教授 (30422455)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 緑地 / 堺市 / バイオマス / 生態系サービス |
研究実績の概要 |
前年度深化した堺市との有機性資源循環に関する共同調査の枠組に基づいて、住民参加型の現地研究を進めた。具体的には、堺市の厨芥の段ボールコンポスト化事業「生きごみさん」の参加世帯にモニター世帯としての協力をいただき、一ヶ月間緻密に投入物、重量を記録してもらい、生成されたコンポストを元素成分分析した。これにより、世帯属性と有機物投入パターン、生成コンポストの質の相互関係が明らかになると期待される。現在結果の分析に入っている。 また、堺市との連携の中で、緑化センターで使用される堆肥の代用として、この生きごみさん事業の生成物を使用した場合の資源循環シナリオ分析の進め方を検討した。生成されたコンポストを市民に提供する計画も進行中であり、今後、どのような属性の世帯が取得するか、データを蓄積できると期待される。 秋には、都市の食農・資源循環デザインに関する国際会議(ニューヨーク)に参加した。現地研究者と日米の状況を比較討議するとともに、ニューヨークの直売所とコンポスト化の現場も共同で視察調査し、今後の共同研究の可能性についても具体的に議論することができた。ニューヨークをはじめ北米の大都市は、都市農業や食農連携の先進地と一般に考えられているが、現場では相当郊外から大型トラックで都心部に乗りつけて生産物の大規模直売を行っている一方、設置されたコンポストバケツはあまり利活用されていないようだった。こうした大規模な直売システムとは別に、都心部の空き地を活用した小規模菜園も多数存在し、野菜の地場供給とコンポスト化が街区スケールで実施されている。今後、日本やアジア事例都市域の事例研究構造化を進める中で、社会文化・土地利用の歴史が異なる他地域とのさらなる比較を通じて、逆にアジアの特徴が表出すると思われた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
これまで他都市より遅れていた堺市の有機性資源調査が、コンポストの成分分析まで到達することができた。堺市の関連部局および住民の方々との信頼関係と連携が深化したことは評価できる。 一方、研究代表者が育児短時間勤務を取得した関係で、長期の海外出張が難しかったが、その分資料調査やスケジュール調整による国際会議への参加も実現した。研究室学生の協力もいただき、現地調査や資料収集が継続できた。
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今後の研究の推進方策 |
堺市の事例研究は、実際の市のコンポスト化事業と連携する中で進めており、研究成果が新制度やシステム構築に具体的に反映されうる好機であるととらえている。 アジア事例都市の成果の構造化については、来年度前半で海外研修としてニューヨークに滞在する中で、現地の先進的な地理情報システム環境下で空間解析、共通指標抽出、論文化を確実に進める。
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次年度使用額が生じた理由 |
202円と少額であり、予定通り遂行できている。
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次年度使用額の使用計画 |
予定通り研究を進める。
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