研究課題
シロイヌナズナ気孔孔辺細胞に発現し、アブシジン酸(ABA)誘導気孔閉口に関与するカルシウムイオンチャネルGCC1の機能解析を進めてきた。BiFC(Bimolecular Fluorescence Complementation)法での解析により、GCC1と相互作用するタンパク質キナーゼをいくつか同定した。またインビトロキナーゼアッセイの結果、BiFCで同定したタンパク質キナーゼのいくつかで、GCC1リン酸化活性を検出することができた。またキナーゼ遺伝子破壊変異体において、GCC1遺伝子破壊変異体と類似した表現型を得たことから、in vivoにおいて、今回同定したキナーゼがGCC1の活性制御に関与する可能性が示唆された。しかし、アフリカツメガエル卵母細胞を用いた二電極膜電位固定法にて調査したところ、同定したキナーゼ群の共発現は、GCC1のイオンチャネル活性に影響を与えなかった。今後は別の異種発現系(HEK293、sf9など)を利用した電気生理学的解析を行う予定である。またCa2+指示蛍光タンパク質であるイエローカメレオンを用いた解析により、GCC1が孔辺細胞ABAシグナル伝達において、Ca2+濃度変化の制御に関与する根拠となるデータを取得した。さらに別のABAシグナル伝達変異体との多重変異体を用いた解析により、孔辺細胞ABAシグナル伝達においてGCC1が機能する位置を決定した。孔辺細胞ABAシグナル伝達に関与するCa2+センサータンパク質CPKを4つ同定し、植物における入力刺激特異的Ca2+シグナル解読機構の一端を明らかにした(Brandt, Munemasa et al., 2015)。また、GCC1と同様に孔辺発現に発現するカルシウムイオンチャネルGLRの遺伝子破壊変異体の解析を進め、その生理学的役割を明らかにした(Kong et al., 2016)。
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