研究課題/領域番号 |
26860002
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
坪和 幸司 (竹田幸司) 北海道大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (00572497)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 合成化学 / 不斉触媒反応 / ロジウム(II)錯体 |
研究実績の概要 |
光学活性ハロシクロプロパンは多置換シクロプロパンの合成中間体として有用な化合物であり、その効率的合成法の開発が強く望まれている。α-ハロ-α-ジアゾカルボニル化合物とアルケンとの不斉シクロプロパン化反応は有力な合成法の一つとして期待されるが、ジアゾ基質の調製が困難であることから、これまでほとんど顧みられることがなかった。今年度は、強固な不斉反応場をもつ新規ロジウム(II)錯体を創製と本反応への適用を検討し、以下の成果を得た。 (1)ハロゲン結合は塩素、臭素、ヨウ素の順に強くなることが知られている。そこで、優れた反応性・触媒活性・不斉識別能を併せ持つと期待される新規不斉ロジウム(II)錯体として、ヨウ素原子で置換したRh2(S-TIPTTL)4の合成を行なった。 (2)Rh2(S-TIPTTL)4を用いてα-ブロモ-α-ジアゾアセトフェノンとスチレンとの不斉シクロプロパン化反応を行うと、完璧なシス選択性で1-ベンゾイル-1-ブロモ-シクロプロパンが不斉収率85%で得られることがわかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までに以下の研究目標を達成した。 (1)Rh2(S-TIPTTL)4は、X線結晶構造解析により、隣接するフタルイミド基上のヨウ素原子とイミドカルボニル酸素原子との距離がvan der Waals半径の和よりも短く、ハロゲン結合していることが判明した。 (2)既存の不斉ロジウム(II)錯体を用いてα-ハロ-α-ジアゾカルボニル化合物のシクロプロパン化反応を行った場合に得られる不斉収率は劣悪であった (<10% ee)。本反応系において、Rh2(S-TIPTTL)4が示すエナンチオ選択制は高く、初めての成功例である。 上記の成果は、おおむね当初の計画通りに進行している。
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今後の研究の推進方策 |
不斉シクロプロパン化反応の条件を精査し、エナンチオ選択性の向上を図る。また、不斉シクロプロパン化反応で得られる1-ベンゾイル-1-ハロ-シクロプロパンの変換反応を検討し、多置換シクロプロパン誘導体の立体選択的合成を行う。さらに、光学活性ハロシクロプロパンを合成中間体とする生物活性化合物及びその類縁体の合成を行う。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度に研究を滞りなく継続できるよう、余裕をもった配分としたため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度分とあわせて、試薬およびガラス器具などの物品費として使用する。
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