本研究では,乾式複合化装置を用いた機械的処理による薬物結晶の球形化メカニズムを解明するとともに,薬物の力学的性質と球形化メカニズムの関係を検討した.粒子強度の強い薬物結晶は,機械的処理により部分的に破壊されて生じた大きな粒子に微粉末が取り込まれる被覆造粒によって球形粒子となった.一方,粒子強度の弱い薬物結晶は,機械的処理により完全に破壊されて生じた微粉末同士が凝集造粒することで球形粒子となった.付着凝集性の弱い薬物は,粒子の被覆あるいは凝集が起こらず,球形化できなかった.そのため,機械的処理による球形化の成否は薬物の付着凝集性によって決定されると結論付けた.
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