脂肪組織には増殖して脂肪細胞へと分化する間葉系幹細胞 (ADSC) が存在している。本研究では幹細胞性を維持する遺伝子の解明を目的とした。 マウス脂肪組織からADSCを分取して網羅的遺伝子発現解析を行い、ADSCにて高発現する核内受容体Nr4a1/2/3を同定した。脂肪前駆細胞にNr4a1/2/3を強制発現させた結果、脂肪分化促進因子の発現が低下した。また、ADSCを播種してcAMPアナログを添加すると、Nr4a1/2/3の発現は増加し、脂肪分化促進因子の発現は低下した。以上の結果からNr4a1/2/3はcAMPによって発現が誘導され、脂肪分化を抑制することが示唆された。
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