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2014 年度 実施状況報告書

カルジオリピンを中心とした線虫体細胞の生存に必須なリン脂質とその代謝経路の同定

研究課題

研究課題/領域番号 26860045
研究機関北里大学

研究代表者

坂本 太郎  北里大学, 薬学部, 助教 (10383655)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワードカルジオリピン / 線虫 / リン脂質 / ミトコンドリア
研究実績の概要

カルジオリピン(CL)はミトコンドリアの内膜特異的に存在し、ミトコンドリアの機能や構造の維持に必須なリン脂質であると考えられている。CL合成酵素を欠損した線虫では、生殖細胞のミトコンドリアに異常を来たし不妊になるにも関わらず、体細胞のミトコンドリアは正常に保たれることを研究代表者は明らかにしている。本研究の目的は、体細胞のミトコンドリアがカルジオリピンの減少という危機的状況をどのように回避するのか、その分子基盤を明らかにすることである。
CL合成酵素(cls-1)欠損線虫は活性中心がゲノムから欠失しているにも関わらず、CLは野生型に比べ40%残存していることから、未知のCL合成経路の存在が示唆される(便宜的に未知の経路に関わる酵素をcls-2と呼ぶ)。cls-1ヘテロ線虫(cls-1(+/-))からは、cls-1欠損線虫(cls-1(-/-))が25%の確率で産まれる。cls-1(+/-)に対しエタンメタンスルホン酸処理を行いランダムに点変異を導入し、変異導入によりcls-1(-/-)の出現率が25%を大きく下回るcls-1(+/-);cls-2(-/-)をスクリーニングした。その結果、91ラインのcls-1(+/-);cls-2(-/-)候補線虫を得た。さらに二次スクリーニングを行い、目的線虫の絞り込みを行うことで、4ラインのcls-1(+/-);cls-2(-/-)候補線虫を得た。
リン脂質を高感度に定量することを目的として、LC-MS/MSを用いた定量系を構築した。プレカーサーイオンスキャン、ニュートラルロススキャンを組み合わせることにより、リン脂質分子種の一斉解析が可能となった。今後はスクリーニングにより得たcls-1(+/-);cls-2(-/-)候補線虫のCL量をLC-MS/MSを用いて定量する予定である。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

未知のCL合成経路の順遺伝学的スクリーニングに実際に着手し、4ラインのcls-1(+/-);cls-2(-/-)候補線虫を得ている。また、リン脂質を定量するためのLC-MS/MS系の構築にも着手し、当初予定していた研究計画は遂行できているため。

今後の研究の推進方策

今後はスクリーニングにより得たcls-1(+/-);cls-2(-/-)候補線虫のCL量をLC-MS/MSを用いて定量し、実際にCLが減少しているのか確認する。また、cls-1(+/-);cls-2(-/-)候補線虫において既存のリン脂質合成酵素の遺伝子配列を解読し、変異が生じていないか確認する。既存のリン脂質合成酵素に変異がなければ、cls-2は全く新しいCL合成経路に関与する遺伝子ということが想定される。その場合には、全ゲノムシークエンスを行うことにより、変異遺伝子を同定する予定である。さらに、同定された遺伝子が哺乳類に保存されている可能性も考えられるため、哺乳類培養細胞に対して当該遺伝子のRNAiを行うことにより、新規CL合成経路の普遍性についても検討したいと考えている。

次年度使用額が生じた理由

残額が少額で物品の購入に当てることも不可能であったため。

次年度使用額の使用計画

物品費として使用する。

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公開日: 2016-06-01  

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