研究課題/領域番号 |
26860047
|
研究機関 | 鈴鹿医療科学大学 |
研究代表者 |
廣田 佳久 鈴鹿医療科学大学, 薬学部, 助手 (70724277)
|
研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | ビタミンK / UBIAD1 / 骨特異的ノックアウトマウス |
研究実績の概要 |
ヒトが主に食事から摂取するビタミンKはphylloquinone(PK)であるが、体内の組織中に存在するビタミンKの大部分はmenaquinone-4(MK-4)である。これまでに我々は、PKを摂取後、小腸で側鎖が切断され側鎖を持たないmenadione(MD)となり、各組織中でUbiA prenyltransferase domain containing protein 1(UBIAD1)によってMK-4へ変換されることを科学的に証明した。これまでに、骨に対するUBIAD1の役割は全く報告されていないが、我が国では骨粗鬆症治療薬としてMK-4が臨床応用されているように、ビタミンKと骨との関係はこれまでに多くの報告がある。そこで本研究では、ビタミンKの標的組織である骨に対するUBIAD1の生理的機能を明らかにする目的で、骨特異的なUbiad1遺伝子欠損マウスを作出し詳細な表現型解析を行った。 これまでに我々は、全身性のUbiad1遺伝子欠損マウスを作出するため、Ubiad1遺伝子を2個のloxP配列で挟んだUbiad1 flox/floxマウスを作出した。このマウスと骨芽細胞に特異的に発現するosterix(osx)プロモーターの下流にCreを発現するosx-Creマウスを交配し、骨芽細胞特異的なUbiad1遺伝子ノックアウト(Ubiad1 osx-/-)マウスの作出に成功した。現在、作出したUbiad1 osx-/-マウスの表現型解析を行っており、各週齢における体重の変化やリン、カルシウム、オステオカルシンなどの骨に関連する血液マーカーの挙動、動物用マイクロCTを用いた骨組織の形態計測等を行っている。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
骨芽細胞特異的なUbiad1遺伝子ノックアウト(Ubiad1 osx-/-)マウスの作出に成功し、表現型の解析から興味深い知見が得られたため。また、UBIAD1自身のの酵素活性ドメインや基質認識領域など、本酵素の構造的特徴および酵素活性中心を解明するため、UBIAD1のpoint mutantおよびdeletion mutantを作製し、酵素としての構造的特徴の解明を行った。変異体には、生物種を超えて高度に保存されているアミノ酸やこれまでにUBIAD1の変異によって角膜の白濁を引き起こすシュナイダー角膜ジストロフィー(SCD)に関連することが報告されているアミノ酸に対する変異体を作製した。変異を導入したアミノ酸をターゲットにmutationを行い、バキュロウイルス発現系ベクターに導入したのち、昆虫細胞(Sf9細胞)にバキュロウイルスを感染させ、ビタミンK合成活性を評価した。本年度には、変異体を用いたUBIAD1の構造機能解析の結果がまとまり論文化出来たため。
|
今後の研究の推進方策 |
骨芽細胞特異的なUbiad1遺伝子ノックアウトマウスの表現型解析を詳細に行う。また、骨芽細胞を用いて、siUbiad1によりUbiad1遺伝子ノックダウンした細胞およびCRISPR/Cas9システムを用いたUbiad1遺伝子ノックアウト細胞を樹立し、骨芽細胞の発生、形態異常、機能異常にUbiad1およびMK-4がどのような役割を有するかを評価する。さらに、骨吸収に対するUBIAD1の役割を明らかにするため、初代培養したマウスの大腿骨由来骨髄細胞およびマウスマクロファージ由来株化細胞(RAW264.7細胞)にM-CSFおよびRANKL、活性型ビタミンD等を加え破骨細胞を形成し、TRAP染色を行い評価する。この破骨細胞にUbiad1遺伝子ノックダウンプラスミドをエレクトロポレーション法により導入し、Ubiad1遺伝子をノックダウンした破骨細胞を樹立することで、破骨細胞に対するUbiad1およびMK-4の役割を明らかにする。
|
次年度使用額が生じた理由 |
本年度は2年の研究期間を設けた1年目であり、研究費を全て消費するよりも次年度に必要なものを購入するために、少額ではあるが残高として12339円を残した。
|
次年度使用額の使用計画 |
本年度の残高と次年度配分予定の研究経費は、実験試薬等に使用する。また、学会発表や論文発表を通じて研究成果を公表するためにも研究費を使用する。
|