研究課題/領域番号 |
26860049
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研究機関 | 国立医薬品食品衛生研究所 |
研究代表者 |
大岡 伸通 国立医薬品食品衛生研究所, 遺伝子医薬部, 主任研究官 (80568519)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | ユビキチン / プロテアソーム / TACC3 / IAP |
研究実績の概要 |
本研究は、細胞内でユビキチン・プロテアソーム経路により微小管制御タンパク質TACC3を選択的に分解するハイブリッド化合物、SNIPER(TACC3)を設計合成し、その薬効を評価すると共に活性の作用メカニズムを解明することを目的とする。 本年度は、昨年度作製したTACC3分解誘導剤SNIPER(TACC3)の抗がん活性の評価を行った。様々ながん細胞株、正常細胞株におけるTACC3の発現及び、SNIPER(TACC3)を処理したときの細胞増殖能を調べたところ、SNIPER(TACC3)は正常細胞と比較して、TACC3が高発現しているがん細胞に対してのみ、選択的な細胞死を誘導することが明らかになった。またSNIPER(TACC3)によるがん細胞死は、caspaseの活性化やannexin V陽性細胞の出現から、一部はアポトーシスであることが示された。さらに、APC/CCDH1をsiRNAでノックダウンしTACC3の分解を抑制すると、SNIPER(TACC3)によるがん細胞死も抑制されることから、TACC3の分解依存的な抗がん活性であることが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画通りSNIPER(TACC3)の抗がん活性を評価し、SNIPER(TACC3)がTACC3を分解することにより、TACC3発現の高いがん細胞に対して選択的な細胞障害性を示すことを明らかにした。また、このがん細胞死は少なくとも一部はアポトーシスであること、TACC3の分解依存的であることを明らかすることができた。これらのことから、本研究は順調に進行していると評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
SNIPER(TACC3)によるがん細胞死はアポトーシスだけでなく、細胞質における空胞を伴う別の細胞死も並行して行われていることが示唆されている。次年度はこの細胞死のメカニズム等を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
次年度以降に繰り越しされる研究費が生じた理由としては、年度末の学会の参加費及び旅費が未精算であること、本年度の研究が概ね順調に進展したことから無駄な物品費がかからなかったことが挙げられる。
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次年度使用額の使用計画 |
繰り越し研究費の一部は本年度の未精算の学会参加費及び旅費に使用する予定である。また残りは、本年度の研究の進展から推測される次年度以降の研究の性質を考えると物品費が多くかかることが予測されることから、物品費として使用する予定である。
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