研究課題
本研究は、細胞内でユビキチン・プロテアソーム経路により微小管制御タンパク質TACC3を選択的に分解するハイブリッド化合物、SNIPER(TACC3)を設計合成し、その薬効を評価すると共に活性の作用メカニズムを解明することを目的とする。TACC3に直接結合し、その活性を阻害することが報告されている化合物KHS108に、ユビキチンリガーゼcIAP1に対するリガンド化合物であるMeBSをリンカーで繋いだハイブリッド化合物をSNIPER(TACC3)として合成した。様々ながん細胞株で、SNIPER(TACC3)はTACC3タンパク質をユビキチン・プロテアソーム系により選択的に分解することを明らかにした。メカニズム解析により、SNIPER(TACC3)によるTACC3のユビキチン化は予想に反してcIAP1依存的には起こっておらず、別のユビキチンリガーゼ複合体APC/CCDH1依存的に起こっていることがわかった。SNIPER(TACC3)はその化合物構造全体でAPC/CCDH1に結合し、TACC3とAPC/CCDH1の結合を増強していることを明らかにした。SNIPER(TACC3)は正常細胞と比較してTACC3を高発現しているがん細胞に対して選択的に、TACC3の分解依存的なアポトーシスを誘導することを明らかにした。またSNIPER(TACC3)はアポトーシスと並行して、パラトーシスとして知られるネクローシス様の細胞死をがん細胞特異的に誘導することを明らかにした。SNIPER(TACC3)はXIAPによるTACC3とは異なるタンパク質のユビキチン化を誘導し、ユビキチン化凝集体を形成させることでがん細胞のパラトーシスを誘導していることを明らかにした。
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