本研究では様々な皮膚疾患におけるsPLA2-IIDの機能を解析し、病態制御における本酵素の免疫抑制作用の普遍性を検討した。IID欠損マウスのリンパ節では構成的にω3脂肪酸代謝物が減少し、乾癬(Th17応答)モデルが増悪したが、IID過剰発現マウスでは真逆の表現型を示した。活性化樹状細胞やリンパ節細胞のTh17サイトカイン産生はω3脂肪酸やその代謝物により抑制された。皮膚癌モデルを適用したIID欠損マウスでは抗腫瘍免疫が賦活化して癌が抑制された。以上より、IIDはリンパ組織において構成的にω3脂肪酸代謝物を動員して炎症病態を改善する一方、癌病態を促進する二面性的役割を持つことが明らかとなった。
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