研究課題/領域番号 |
26860054
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
原 貴史 京都大学, 薬学研究科(研究院), 研究員 (90546722)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 脂質 / Gタンパク質共役型受容体 / 免疫応答 |
研究実績の概要 |
近年の生活習慣の変化に伴い、肥満や糖尿病といったいわゆるメタボリックシンドロームに代表される代謝疾患とその予備軍とされる患者数は増加の一途を辿っている。予防や治療に向けて世界的に精力的な研究が行われており、依然としてその研究ニーズは非常に高い。最近の研究において、この代謝疾患の疾患メカニズムの一つとして炎症応答が密接に関与していることが示唆されており、新たな治療標的としての炎症応答に注目が集まっている。他方、細胞膜上に存在し脂質によって活性化されるタンパク質の一種である脂肪酸受容体は、これまでに糖尿病や肥満との関連が報告されている。さらに近年になって本タンパク質が免疫細胞にも発現し炎症応答と密接に関与している可能性が示唆されている。本課題では、脂肪酸受容体に焦点を当て、本タンパク質の炎症応答への関与を詳細に明らかにすることで、代謝疾患における炎症応答の病態への関与と本分子との関連を明らかにする。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
免疫細胞を各組織から特異的マーカーを基に分離・培養する実験系を確立するために、各組織から細胞懸濁液の調製方法や分離手法の手技の習熟に努めた。また、脂肪酸受容体の特的化合物を用いてある種の免疫細胞からの炎症性サイトカインの分泌パターンの変化を検討し、脂肪酸受容体の炎症性サイトカイン分泌への関与が示唆される結果を得た。
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今後の研究の推進方策 |
脂肪酸受容体の遺伝子改変動物を利用して、炎症応答における本分子の役割を明らかにする。具体的には、骨髄移植法を用いて遺伝子改変マウスの骨髄細胞を野生型マウスで再構築させ、免疫系における脂肪酸受容体の関与を検討する。また、種々の方法で遺伝子改変マウスに炎症を惹起させ、炎症時におけるin vivoでの脂肪酸受容体の関与を野生型マウスと比較する。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究計画遂行にあたり、研究設備と実際に使用する試薬等は既存の試薬などにより遂行することが可能であったため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度より、実験動物の使用数の増加により飼育管理費の増大が見込まれる。また、免疫細胞の分離のため多種類の蛍光標識抗体を購入する計画である。また、国際学会に出席し研究発表を計画している。以上により、研究の遂行に際して当該所用額が必要となる。
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