マウスに心筋梗塞処置を施し、GPR4の発現量変化(1~28日)をReal-time RT-PCRで確認した。その結果、GPR4は心筋梗塞時において余り発現量が変化しないことが明らかとなった。この結果により、GPR4の発現細胞は、梗塞時に浸潤してくる免疫細胞ではないことが示唆された。これまでGPR4 KOマウスでは、野生型マウスと比べて梗塞初期段階で生存率が悪化する事と、今回のReal-time RT-PCRの結果と合わせて考えると、心筋梗塞処置後初期の段階で元々心臓に存在するGPR4発現細胞が病態に関与していることが考えられる。そこで、心臓組織から各種細胞を分取し、mRNAの発現を調べたところ、ある細胞のみが顕著にGPR4の発現が高かった。また、in situ hybridizationによりGPR4発現細胞を確認したところ、Real time RT-PCRの結果と同じ細胞が染色されたことから、間接的であるが発現細胞を同定することに成功した。次に、心筋梗塞時にGPR4発現細胞に関連する遺伝子をReal time RT-PCRで測定したこところ、心筋梗塞処置後1日目のGPR4 KOマウスは野生型マウスの炎症関連遺伝子の発現量が有意に低下していること見出した。以上の結果からGPR4発現細胞は心筋梗塞時に炎症を亢進させ、生存率や心機能を悪化させる可能性が示唆された。
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