高齢化社会に伴い、脳・心血管イベント二次予防に低用量アスピリンが長期処方されるようになった。一方、アスピリンは、副作用として胃だけでなく小腸粘膜にも傷害を生じることがわかり、大きな臨床的問題となっている。我々は、アスピリンが小腸上皮細胞内のミトコンドリアで活性酸素を生じ、細胞と細胞とを接着させる役割を持っている装置のうちのひとつであるタイトジャンクションに酸化修飾をひき起こすことにより、腸管粘膜の透過性が亢進する機序を本研究を通して解明した。また、本研究で得られた知見を元に、既存の実臨床で広く用いられる安全性の確立した抗酸化作用を有する薬剤を用いて、新たな「腸薬」の可能性を探った。
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