研究課題/領域番号 |
26860061
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研究機関 | 北海道医療大学 |
研究代表者 |
町田 拓自 北海道医療大学, 薬学部, 准教授 (90433424)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ドコサヘキサエン酸 / 圧力ストレス / 血管平滑筋細胞 / focal adhesion kinase / レゾルビンD1 |
研究実績の概要 |
研究代表者は最近、収縮期高血圧を擬似的に再現した圧力ストレス環境下において、血管平滑筋細胞機能が低下すること、さらにドコサヘキサエン酸(DHA)がそれらの機能を改善することを見出した。本研究は圧力ストレスがどのようなメカニズムで血管平滑筋細胞機能を低下させているのか、その分子機構を明らかにし、さらにDHAの細胞機能改善作用の調節機構を解明することを全体構想としている。計画している具体的な研究項目は、①圧力ストレスを感知するストレスセンサーの実体とシグナル伝達機構の解明、②圧力ストレスによる細胞膜受容体発現および機能への影響の検討、③DHAおよびその代謝物の作用メカニズムの解明、の3つである。 平成26年度は、圧力ストレスを感知するストレスセンサーの実体とシグナル伝達機構の解明を主目的として研究を行い、平成27年度に圧力ストレスによる細胞膜受容体発現および機能への影響の検討、及びDHAおよびその代謝物の作用メカニズムの解明を行う予定である。 平成26年度は、圧力ストレスを感知するストレスセンサーの候補として物理的ストレスセンサーとして知られているインテグリン-FAK経路を挙げ、この経路の活性化に及ぼす圧力ストレスの影響を検討した。その結果、圧力ストレスがこの経路の活性化に関与している可能性を見出したので、現在さらなる検討を加えて詳細なメカニズムを明らかにしようと試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成26年度は、圧力ストレスを感知するストレスセンサーの実体とシグナル伝達機構の解明を主目的として研究を行った。圧力ストレスとは異なる物理的ストレスであるずり応力および伸展刺激は、細胞でのインテグリン-focal adhesion kinase(FAK)活性化経路が物理的ストレスセンサーとしての役割を担っていることが報告されているため、この経路が圧力ストレスセンサーとしても機能しているかについて検討を行った。その結果、収縮期高血圧を想定した圧力ストレスがFAKの活性化を促進する傾向があることを見出した。また、FAK阻害薬を用いた実験において、FAKが圧力ストレスによる誘導型一酸化窒素合成酵素及びシクロオキシゲナーゼ-2発現抑制作用を負に制御する可能性が見出された。平成27年度も圧力ストレスによるFAKの関与について詳細に明らかにすべく、さらなる研究を計画している。
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今後の研究の推進方策 |
現在のところ、本研究計画はおおむね順調に進展しているので、引き続き当初の計画通りに遂行していくことを基本とする。 平成27年度に主として行う予定であるDHA代謝物による細胞応答及び圧力ストレスによる調節機構の解明についても予備的検討を行った。その結果、DHA代謝物のうちレゾルビンD1が血管平滑筋細胞での細胞機能に最も影響を与える可能性を見出したので、レゾルビンD1を主たる研究対象として研究を進める予定である。
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