研究課題/領域番号 |
26860069
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研究機関 | 東京薬科大学 |
研究代表者 |
横須賀 章人 東京薬科大学, 薬学部, 講師 (20318190)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2018-03-31
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キーワード | 腫瘍細胞毒性 / アポトーシス / 微小管ダイナミクス / 分子標的 / 細胞周期 |
研究実績の概要 |
植物由来がん分子標的治療薬シードの探索を目的として、昨年に引き続きヒガンバナ科Haemanthus multiflorusとキンポウゲ科Helleborus foetidusのメタノール抽出エキスのさらなる活性成分の探索を行った。その結果、H. multiflorus から新規6種を含む計10種のphenolic 配糖体を、H. foetidusから新規7種を含む計10種のbufadienolide誘導体を単離、構造決定した。 H. foetidusから単離された新規bufadienolide誘導体(HF-1)は、HL-60ヒト白血病細胞に対して強い細胞毒性を示した(IC50 0.035 μM)。HF-1は、HL-60細胞に対して核クロマチンの凝集とcaspase-3 の活性化を示した。さらに、HF-1で処理したHL-60細胞のDNA量をフローサイトメーターで測定し、細胞周期を解析した結果、G2/M期の細胞の蓄積とともにsub-G1期の細胞数の上昇が観察された。以上のことから、HF-1はHL-60細胞に対してアポトーシスを誘導することが示された。また、HF-1で処理したHL-60細胞ではミトコンドリア膜電位の消失が認められたことから、ミトコンドリアを介したアポトーシスを誘導することが確認された。 さらにHF-1を一定時間接触させたHL-60細胞およびA549ヒト肺腺がん細胞のチューブリンと核を、蛍光イメージングにより観察した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
HL-60細胞に対する細胞毒性スクリーニングを指標として、ヒガンバナ科植物およびキンポウゲ科植物から活性成分の分離、精製を行った。その結果、HL-60細胞に対してG2/M期で細胞周期の停止をもたらす新規化合物を見出した。さらに本年度は、活性が見出された化合物を一定時間HL-60細胞とA549ヒト肺腺がん細胞に接触させたのち、チューブリンと核を蛍光イメージングにより観察した。
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今後の研究の推進方策 |
さらに、生薬、植物からの活性成分の単離、構造決定を進めるとともに、本年度までの結果により見出された数種の細胞毒性活性天然物を用いて、固形がん細胞に対するアポトーシス誘導活性と細胞周期解析を行う。G2/M期で細胞周期の停止をもたらした化合物の、細胞分裂期における紡錘体形成を、チューブリンと核の蛍光イメージングにより判定するとともに、微小管ダイナミクスに対する作用解析を行う。
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