研究課題/領域番号 |
26860076
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研究機関 | 筑波大学 |
研究代表者 |
山本 直司 筑波大学, 国際統合睡眠医科学研究機構, 助教 (80580216)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | オピオイド / モルヒナン |
研究実績の概要 |
オピオイドkappa受容体選択的アゴニストに必要な側鎖の配向とその長さを探るため、前年度に引続き、ビシクロ[2.2.2]オクテン骨格を有するモルヒナン誘導体の合成を試みた。まず、アルキンを用いたDiels-Alder反応で一挙にビシクロ[2.2.2]オクテン骨格を構築する方法を試みた。しかし、3-(トリメチルシリル)プロピン酸エチルを用いてDiels-Alder反応を行ったところ、全く反応せずに原料回収に終わった。そこで骨格中にケトンを導入しておき、エノールトリフラートを経由してビシクロ[2.2.2]オクテン構造を構築する方法を検討した。その結果、ケトンのエノールトリフラートへの変換は高収率で進行し、さらに種々のカップリング反応を用いることで、4,5-エポキシモルヒナン骨格を有するビシクロ[2.2.2]オクテン誘導体を良好な収率で構築できた。さらに側鎖をF環に対してalpha側、平面上、beta側にそれぞれ伸長させたベンジルアミド誘導体を合成したところ、F環平面上に側鎖が伸長した化合物がオピオイドkappa受容体に対して非常に高い親和性を示すことを見出した。 一方、モルヒナン誘導体では14位水酸基をChugaev反応により脱離させることでジエン体を良好な収率で得ることに成功したが、その後の熱によるDiels-Alder反応は進行せず、基質の分解がみられた。また、プロペラン型五環性骨格を有する誘導体についての成果を論文としてまとめた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
ビシクロ[2.2.2]オクタンおよびビシクロ[2.2.2]オクテン構造を有するモルヒナン骨格の構築において、ジエン体を得る条件は確立したものの、続く加熱条件下でのDiels-Alder反応が進行しなかった。したがって、当初計画していたモルヒナン骨格におけるビシクロ[2.2.2]オクタンおよびビシクロ[2.2.2]オクテン誘導体の合成を達成できていないため、当初の計画よりやや遅れているとした。
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今後の研究の推進方策 |
これまでに4,5-エポキシモルヒナン骨格においてビシクロ[2.2.2]オクテン構造を構築することに成功しているため、今後はその誘導体の合成を行い、オピオイドkappa受容体選択的アゴニストに必要な側鎖の配向とその長さを探る予定である。また、モルヒナン骨格にビシクロ[2.2.2]オクテン構造を構築する方法も検討するが、ルイス酸を用いたDiels-Alder反応が進行しない場合には、すでに骨格構築法を確立した4,5-エポキシモルヒナン骨格を基にした誘導体の合成に注力する。また、プロペラン型化合物については成果をまとめることができたので今後は上記誘導体の合成に注力する。筑波大学でオピオイドリガンドの評価が可能になった場合には、その評価系を用いて評価を行う予定である。
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