研究課題
G4 (グアニン四重鎖) はグアニン豊富なDNA配列において形成される非B型DNAの一つであり、遺伝子プロモータ上でのG4安定化により、遺伝子発現抑制が可能になる。本研究ではG4を安定化することでがん幹細胞に対し細胞増殖抑制活性を示す化合物 (G4リガンド) を取得し、実際の抗がん効果を評価することを目的として、種々の検討を行っている。本年度は、前年度に開発したOTDへの新規側鎖の導入により、アンチパラレル、パラレル、ハイブリッドの三つの代表的トポロジーの識別を検討した。その結果、側鎖を導入する位置に依存し、トポロジーへの選択性が変化することが見出された。今後更なる検討を行う事で、特定のG4へ選択的に相互作用するリガンド創出を目指す。また、前年度までに見出した神経膠腫幹細胞へ選択的に増殖阻害活性を示す化合物のin vivoでの抗がん効果について検討した。その結果、脳腫瘍細胞株であるU251を用いた実験で、OTDは抗腫瘍硬化が示された。さらに、OTDは神経膠腫幹細胞の同所移植系においても抗腫瘍効果を示すことがわかった。以上より、G4リガンドしてのOTDの構造活性相関により、トポロジー選択性を向上させることが出来ること、OTDはin vivoでがん幹細胞へ抗腫瘍効果を示すことが示された。本研究の更なる検討により、特定の遺伝子のG4安定化を介した発現抑制、またこれに基づく創薬が可能になると考えている。
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