研究課題/領域番号 |
26860080
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
増田 亮 早稲田大学, 理工学術院, その他 (90632159)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 抗菌ペプチド / 3重らせんペプチド / コラーゲン様ペプチド |
研究実績の概要 |
細菌膜を傷害する抗菌ペプチドの多くは両親媒性を有していることが知られ、低分子医薬品とは異なる作用機序で抗菌活性を発現することから、薬剤耐性菌に対しても有効な新薬となりえる。しかしながら臨床試験では期待される結果は得られておらず、その理由としてはプロテアーゼによる易分解性が挙げられる。コラーゲン様3重らせんペプチドは、生体内のプロテアーゼによる分解に対して激しく抵抗するため、in vivoで活性を発現するペプチド医薬品の骨格として有用である。本研究は3重らせん構造に抗菌ペプチドに特徴的な性質を付与することで生体内でも安定に存在可能な抗菌ペプチドの開発を目標としている。 申請者はまず、3重らせん構造を骨格として、塩基性アミノ酸や疎水性アミノ酸、中性アミノ酸を様々に配置したペプチドライブラリを構築した。これらの構築にはFmoc固相合成法で1本鎖ペプチドを合成し、得られた各ペプチドのうち3種類を混合することで3重らせんペプチドライブラリとした。ライブラリの抗菌活性を評価したところ、ある特定のアミノ酸と配置を持つ3重らせんペプチドプールが、大腸菌に対して有意な抗菌活性を発現することを見出し、本プールの中に含まれる活性種を同定した。さらなる構造活性相関研究により、抗菌活性を発現するための構造の必要条件を調査した。 得られた抗菌型3重らせんペプチドの血清中での安定性を評価したところ、24時間後でもそのほとんどが分解を受けなかった。また細胞毒性や溶血活性はほとんど示さなかった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
大きな目的である3重らせん型の抗菌ペプチドを同定することがでたため。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、今年度に得られた3重らせん型の抗菌ペプチドをリードとした構造活性相関研究を行い、活性の向上や物性の改善を図る。くわえて抗菌スペクトルを評価し、本ペプチドのin vivoでの利用に向けた指針を得る。
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