研究課題
昨年度に得られた3重らせん型の抗菌ペプチドの構造活性相関研究を行った。塩基性アミノ酸の個数や配置、ペプチド鎖の長さを変化させてそれらの抗菌活性を評価したところ、より抗菌化活性が向上した抗菌ペプチドを開発した。本ペプチドは、グラム陽性菌とグラム陰性菌のいずれの細菌に対しても抗菌活性を発現した。くわえて、メシチリン耐性黄色ブドウ球菌や多剤耐性緑膿菌といった薬剤耐性菌に対しても抗菌活性を発現した。本ペプチドの抗菌メカニズムを調べたところ、多くの抗菌ペプチドに見られるような細菌膜の破壊にくわえて、細菌内の核酸と相互作用することで細菌の分裂を阻害していることが示唆された。また、本ペプチドの血清中での安定性を評価したところ、24時間後でも40%程度が残存していた。溶血活性や細胞毒性はほとんど観察されなかった。以上より、3重らせんペプチドのコンビナトリアルライブラリから、抗菌性のペプチドを同定することができた。さらに構造活性相関研究によって、より強力な抗菌ペプチドを開発した。本ペプチドは、広い抗菌スペクトルやユニークな作用メカニズム、高い血中安定性といった特徴を有していた。今後はin vivoでの活性を評価し、どのような感染症に対して有効かを評価していく。
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Biopolymers (Peptide Science)
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