研究課題/領域番号 |
26860083
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研究機関 | 徳島文理大学 |
研究代表者 |
庄司 正樹 徳島文理大学, 薬学部, 助教 (00636821)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | ウイルス側因子 / 宿主側因子 / 次世代シークエンサー / 酸化ストレス関連遺伝子 |
研究実績の概要 |
本研究では、バクチオールの抗インフルエンザ活性におけるウイルス側或いは宿主側の標的因子を探索した。 初めに、ウイルス側の標的因子を探索するために、天然型及び非天然型バクチオールによるNAのシアル酸切断活性、HAの赤血球凝集活性、M2のイオンチャネル活性、インフルエンザウイルスRNAポリメラーゼ活性の阻害効果の検討を行った。しかしながら、どの検討においても抗インフルエンザ活性を反映する様な強い阻害効果を示さなかったことから、バクチオールの抗インフルエンザ活性には宿主細胞内因子を標的とする可能性が高いことが考えられた。 次に、宿主側標的因子を探索するために、次世代シークエンサーを用いて、バクチオール処置イヌ腎臓由来細胞のトランスクリプトーム解析を行った。バクチオール処置により、宿主細胞においてNAD(P)H quinone oxidoreductase 1 (NQO1)とglutathione S-transferase (GST)のmRNA発現が上昇し、またこれらは定量的PCR法で確かめられた。NQO1とGST遺伝子発現を制御する転写因子は、抗インフルエンザ活性に関与することが報告されているため、これらの発現上昇はバクチオールによる抗インフルエンザ活性メカニズムの一端を担っていると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
現在までの研究成果により、バクチオールによる抗インフルエンザ活性の標的因子は、ウイルス側ではなく、宿主側にあると強く示唆された。これにより、今後の研究がスムーズに展開できると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度の研究成果により、バクチオールによる抗インフルエンザ活性の標的因子は、宿主側因子であると示唆されるが、直接的な標的因子は、まだ特定できていない。そこで今後は、研究計画に示している通り、ビオチン化法と釣竿法を組み合わせた方法でバクチオールの直接的な宿主標的因子を特定し、この結果を基にバクチオールを基盤とした新規抗インフルエンザ薬の開発候補品を作製する。
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