研究課題
次世代シークエンサーを用いて(S)-バクチオールの抗インフルエンザ活性における宿主細胞の網羅的な遺伝子発現解析を行った。次世代シークエンサーにより宿主細胞における網羅的な遺伝子発現の解析から、(S)-バクチオール処置により酸化ストレス防御機構の中心的役割を果たすnuclear factor erythroid 2-related factor 2(Nrf2)シグナル経路が活性化することが分かった。その活性化は、ルシフェラーゼによるNrf2レポーターアッセイにより確かめられた。また、リアルタイムPCR法により、Nrf2で活性化されるNAD(P)H quinone oxidoreductase 1とglutathione S-transferaseの遺伝子発現が、コントロールと比較して(S)-バクチオール処置で有意に上昇したことが分かった。Nrf2の発現低下は、インフルエンザウイルスの細胞内への侵入と増殖を上昇させることが報告されていることから、宿主細胞のNrf2活性化が(S)-バクチオールによる抗インフルエンザ活性メカニズムの一端を担っていると考えられる。次に、 (S)-バクチオールが相互作用する物質の特定し、その作用機構を明らかにすることを目的にそのビオチン標識化誘導体の調製を行った。(S)-2-フェニルオキサゾリジノンを不斉補助基に持つ化合物に対するビニル基の1,4-付加反応と続くp-アニスアルデヒドとのアルドール/脱炭酸カップリング反応により、光学的にほぼ純粋な化合物を得た。さらに、数段階を経て鍵中間体へと変換し、1位水酸基を足場として種々のビオチン標識化誘導体を作成中である。
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THE JOURNAL OF BIOLOGICAL CHEMISTRY
巻: VOL 290, NO. 46 ページ: 28001-28017
10.1074/jbc.M115.669465