アルツハイマー病の治療標的として、これまでに脳内アミロイド斑全てに大量に確認出来るAmyloid beta(Aβ)に着目した研究がなされてきた。しかしながら、Aβ自体よりも、Aβを基にした構造体がアルツハイマー病に大きく関与している事が明らかとなってきている。申請者は、Aβ由来の毒性集合体であるASPDに着目し、Aβとそのレセプターの結合を阻害する薬剤のスクリーニング系の開発を行った。 まずはスクリーニング系のSN比を高いものとするため、リガンドとして、セレンテラジンを基質とする強力な発光タンパクであるGaussia luciferase (Gluc)をASPDに付加する方法を開発した。レセプターとしては、当初はHEK293細胞に強制発現させ、これをレセプターとする予定であったが、当該レセプターの性質上、強制発現では機能しなかった為、ラットの生体脳海馬より直接抽出し、これを発光用ELISA plateに固相化する方法を開発した。 こうして開発した系を、すでにASPDとレセプターの結合阻害活性を持つことが判明しているペプチド(阻害ペプチド)を利用し、実際にスクリーニング系として機能するか確認したところ、阻害ペプチドを作用させた群において、明らかにGlucの発光が減少していた。 系の改善の余地は存在するが、以上を総括すると、Glucを利用した高感度なアルツハイマー病に対するスクリーニング系を開発することが出来た。
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