内臓脂肪型肥満を基盤とした非アルコール性脂肪性肝炎(NASH) は、肝実質細胞の壊死、炎症、線維化などを伴い、肝がんへと進行する生活習慣病である。NASH の主たる基盤病態として肝臓への過剰な脂質蓄積が挙げられている。これまでに、我々はダイオキシン類の受容体(AhR)について研究を進めている。近年、AhRが異物代謝のみならずエネルギー代謝調節への関与が示唆されていることから、高脂肪食誘発性の脂肪毒性発現におけるAhRの機能解析を行った。AhRは脂肪毒性の発症を抑制的に制御していることが示された。AhRを介したNASH発症機構の解明は、様々な炎症性肝疾患の治療法の確立に繋がる可能性を秘めている。
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