研究課題
本研究では、イネ種子のみならず様々な作物へ導入された外来遺伝子のゲノム中におけるエピゲノム修飾パターン情報を多変量解析することによりプロファイリングし、遺伝子組換え(GM)作物の峻別を可能とする方法の確立に向けた基礎データの収集を行った。イネ種子を使用した実験では、種子1粒よりカルスを作成し、環境刺激下で再分化試験を行い、12日間培養し得られたサンプルより精製したゲノムDNAを鋳型にGMイネ開発で汎用性の高いイネ由来Actin1内在性プロモーターのメチル化パターン解析を行った。メチル化パターンは、内在性遺伝子Act1のプロモーター領域と遺伝子導入されたAct1プロモーター領域の違いを検出した。環境刺激下におけるカルスの低再分化環境下においては、GM型イネに挿入されたAct1プロモーターのメチル化は野生型と比較して顕著に表れることを示唆するデータが得られた。また、様々な作物の有用遺伝子発現に汎用性の高いカリフラワーモザイクウィルス(CaMV)35SRNAプロモーターのメチル化パターン解析を行い、作物に導入した後とCaMVゲノム中のメチル化パターンの違いについて解析を行った。アブラナ科のブロッコリー、キャベツ及びコカブに感染させたCaMVのP35Sのメチル化パターンを解析した結果、いずれの植物に感染したCaMVにおいてもP35Sは高度にメチル化されていた。一方、栽培品種のGM作物に導入された同配列は、低メチル化されていた。解析を行った339 bpのうち67か所のシトシン塩基のメチル化パターンの多変量解析の結果、CaMV感染ウィルス由来とGM作物由来のP35SのDNAメチル化修飾をグループ化することができ、それぞれを明確に見分けることが可能であった。また、メチル化パターンとメチル化率の情報を基に、メチル化感受性制限酵素処理やリアルタイムPCR法を駆使し、GM作物とCaMVの混入を検知できるメチル化率定量判別法を確立することができた。
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