研究課題/領域番号 |
26860103
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研究機関 | 青山学院大学 |
研究代表者 |
栗原 亮介 青山学院大学, 理工学部, 助教 (20713233)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DDS / ペプチド創薬 / デンドリマー / 分子標的 / 癌 |
研究実績の概要 |
本研究では、難治性癌細胞に対して抗腫瘍効果を示すハイブリッドペプチドの抗腫瘍効果増強を目的としている。具体的には、ハイブリッドペプチドはin vivoでの実験において抗腫瘍効果を示すが血中での安定性が低いため、ハイブリッドペプチドにポリエチレングリコール(PEG)とデンドリマーを組み合わせることで、殺細胞効果や血中での安定性、腫瘍への集積性を向上させることで抗腫瘍効果の増強を試みる。平成27年度は、主に下記の研究内容を行った。(1)26年度にハイブリッドペプチドにPEGを直接修飾した場合、殺細胞効果の顕著な低下が確認されたが、ハイブリッドペプチドとPEGの間にリンカーとして、特定の腫瘍で過剰発現しているマトリクスメタロプロテアーゼで切断されるペプチドを導入し、このリンカー部位をあらかじめ切断した状態で細胞に添加することで、殺細胞効果が得られることが確認された。そこでさらにリンカー部位が切断されていない状態のPEG修飾ハイブリッドペプチドを、マトリクスメタロプロテアーゼを過剰発現するがん細胞に加えたところ、リンカー部位を持たないPEG修飾ハイブリッドペプチドよりも効果的な殺細胞効果が確認された。(2)ハイブリッドペプチドを結合させるデンドリマーの合成を行った。また、抗腫瘍効果を評価を行うにあたり大量のハイブリッドペプチドが必要になる。そこで経費削減のためハイブリッドペプチド合成をこれまでの受託合成から自前の合成に変更した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
4: 遅れている
理由
平成27年度は、当初予定した計画より遅れている。その理由は、研究環境の変化によりin vitro実験およびin vivo実験を行うための環境整備を最初から立ち上げる必要が生じ、長期にわたりこれらの実験を行えなかったためである。
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今後の研究の推進方策 |
今後は平成26年度および27年度の研究で得られた結果をもとに、マトリックスメタロプロテアーゼで切断されるリンカーを挿入したハイブリッドペプチド修飾デンドリマーを作製し、殺細胞効果、腫瘍集積性、抗腫瘍効果を評価し、ハイブリッドペプチド修飾デンドリマーの有用性を提示して行く予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
新しい職場へ移るに伴い研究環境が大きく変り、in vitro実験およびin vivo実験が行える環境を整備するまで研究遂行が困難であった。その間、研究費を使用しなかったため次年度使用額が生じた。
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次年度使用額の使用計画 |
ペプチドおよびデンドリマー合成に必要な試薬や機器、細胞培養および殺細胞評価に必要な試薬や機器、抗腫瘍効果および毒性評価に必要な実験動物や試薬、学会発表等に使用する予定である。
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