研究課題
医療用医薬品を構成成分とするナノデバイスの開発を目的とした。ホタルルシフェラーゼをコードしたpDNA (pCMV-Luc)と様々なカチオン性医薬品を混合することで、医療用医薬品ベクターの調製を試みた。スクリーニングの結果、pDNAと硫酸プロタミン静注用(PRT)の混合比と調製プロセスを最適化することで、安定なナノサイズのpDNA-PRT複合体(PRT複合体)を構築することに成功した。作製したPRT複合体はin vitroにおいて、1×108 (RLU/mg protein)を超える高い遺伝子発現を示した。また、各種エンドサイトーシス阻害剤(クロルプロマジン、ゲニステイン、アミロライド)と共存させた結果、ゲニステインと共存させた場合に遺伝子発現効果が有意に低下した。これらの結果より、PRT複合体はカベオラ介在性のエンドサイトーシスにより細胞内へ取り込まれることが示唆された。一方、PRT複合体は低用量では細胞毒性を示さなかったが、高用量ではわずかな細胞毒性を示した。そこで、PRT複合体にアニオン性医薬品を被膜した三重複合体の調製を試みた。アニオン性医薬品として、コンドロイチン硫酸ナトリウム注射液(CS)、ヒアルロン酸点眼液(HA)、および強力ネオミノファーゲンC(GL)を用いて、三重複合体を調製した結果、GLでは凝集して複合体を構築できなかったが、CSおよびHAでは三重複合体を構築できた。また、予備的検討ではあるが、三重複合体は高用量でも細胞毒性を示さなかった。以上のように、我々は本年度の研究によって、硫酸プロタミン静注用を構成成分とする遺伝子ベクターの開発に成功した。来年度は、CSおよびHAを被膜した三重複合体の有効性や安全性を詳細に評価する予定である。
2: おおむね順調に進展している
当初予定していた平成26年度の研究実施計画をほぼ達成しているため、概ね順調に進展していると評価した。
平成27年度も当初予定していた研究計画に従い研究を推進する。
キャンペーン期間に購入するなどして研究費を効率的に使用した。
平成27年度に配分される研究費については、消耗品および旅費として使用する予定である。また、平成26年度の繰越は消耗品費に補填する。
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すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 謝辞記載あり 5件) 学会発表 (4件)
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