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2014 年度 実施状況報告書

個別化制吐療法の実現に向けた遺伝子多型解析を伴う多施設共同臨床試験

研究課題

研究課題/領域番号 26860110
研究機関静岡県立大学

研究代表者

辻 大樹  静岡県立大学, 薬学部, 助教 (90565615)

研究期間 (年度) 2014-04-01 – 2016-03-31
キーワード化学療法誘発性悪心・嘔吐 / 遺伝子多型 / 制吐療法 / オーダーメイド医療
研究実績の概要

がん化学療法誘発性の悪心・嘔吐は、抗がん薬投与により発現する非血液毒性であり、患者のQOLを大きく損なう原因の一つである。近年、新規制吐薬の臨床導入に伴い化学療法施行患者の嘔吐完全抑制割合は向上しているが、その割合は60-70%であり未だ満足できるものではない。したがって、制吐療法に抵抗となる患者の背景因子を把握することは重要である。
本研究では、制吐薬の中枢への取り込みや受容体への結合に影響し、制吐効果の発現に関連することが想定される薬物動態・感受性関連遺伝子多型と制吐効果との関連を網羅的に検討する。さらに、悪心・嘔吐発現に影響する患者背景因子を解析し、遺伝子多型情報活用した制吐薬のオーダーメイド薬物療法に応用するためのエビデンスを構築することを目的とする。
初年度は、制吐療法の多施設共同大規模臨床試験に参加した日本国内の6施設の患者156名から本研究の同意を取得し、遺伝子多型解析に用いる血液試料の提供を受けた。すべての同意取得者において薬物動態に影響することが示唆されているABCB1(1236C>T、2677G>T/A、3435C>T)、ABCG2(34G>A、421C>A)の遺伝子多型解析を行い、嘔吐完全抑制の有無との関連について、年齢、性別、シスプラチン投与量などの悪心・嘔吐発現に影響することが既に報告されている因子を含め多変量解析を行って検討した。多変量解析の結果、制吐薬としてグラニセトロンが投与された群において、シスプラチン投与量、ABCB1 3435C>T、ABCB1 3435C>Tと2677G>T/Aの組み合わせが嘔吐完全抑制の有無と関連する因子であることが示された。
次年度は、薬物感受性関連遺伝子多型(NK受容体、5HT3受容体)の解析系を確立し、嘔吐完全抑制との関連を評価することで制吐効果の予測マーカーとしての有用性を明らかにする。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

集積可能の症例集積は既に完了しており、解析することを計画している遺伝子多型の解析系についてもほぼ確立している。

今後の研究の推進方策

前年度に引続き同様な研究体制で研究を継続する。
5HT3受容体遺伝子多型(5-HT3B 100_102 deletion、5-HT3C 489C>A、 5HT3C 1214G>C)の解析系を確立し次第、患者検体を用いて解析し、遺伝子多型毎に患者群を分類し、嘔吐完全抑制割合と遺伝子多型との関連を評価を行う。また、悪心・嘔吐に関与する他の因子についてもデータ収集を行い総合的に評価する。

次年度使用額が生じた理由

症例集積後のデータ解析(中間解析)の時期と学会発表の時期が合わなかったっため。
解析費の高いダイレクトシーケンスを次年度に行うこととしたため。

次年度使用額の使用計画

得られた成果についてEuropean Cancer Congress 2015をはじめ国内外の学会発表での旅費、ダイレクトシーケンスを行う目的で使用予定。

  • 研究成果

    (4件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)

  • [学会発表] CDDP 誘発性悪心・嘔吐患者における ABCB1 および ABCG2 遺伝子多型の制吐効果に与える影響2015

    • 著者名/発表者名
      中尾將彦、辻 大樹、鈴木賢一、横井茉里、大門貴志、鮎原秀明、小暮友毅、柴田和彦、林 稔展、武田晃司、西尾誠人、濱 敏弘、伊藤邦彦
    • 学会等名
      第53回日本癌治療学会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2015-10-29 – 2015-10-31
  • [学会発表] Influence of ABCB1 and ABCG2 polymorphisms on the antiemetic efficacy of a triple antiemetic combination in cancer patients receiving cisplatin-based chemotherapy: TRIPLE Pharmacogenomics Study2015

    • 著者名/発表者名
      K. Suzuki, D. Tsuji, M. Yokoi, T. Daimon, M. Nakao, H. Ayuhara, Y. Kogure, K. Shibata, T. Hayashi, K. Takeda, M. Nishio, T. Hama, K. Itoh
    • 学会等名
      European Cancer Congress 2015
    • 発表場所
      Vienna
    • 年月日
      2015-09-25 – 2015-09-29
  • [学会発表] 病院薬剤師の臨床研究はここまで来た!2014

    • 著者名/発表者名
      辻 大樹
    • 学会等名
      病院・薬局薬剤師・薬学部臨床系教員のための臨床研究セミナー2014
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2014-11-22
    • 招待講演
  • [学会発表] 背景となるエビデンスが乏しいとき ~薬剤師が主体となって行う臨床研究の意義~2014

    • 著者名/発表者名
      辻 大樹
    • 学会等名
      第24回年日本医療薬学会年会
    • 発表場所
      名古屋
    • 年月日
      2014-09-28
    • 招待講演

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公開日: 2016-06-01  

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