研究課題/領域番号 |
26860114
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研究機関 | 星薬科大学 |
研究代表者 |
笹津 備尚 星薬科大学, 薬学部, 助教 (60421210)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 褥瘡 / 被覆材 / キシログルカン / ハイドロゲル |
研究実績の概要 |
本研究の目的は、天然多糖類であるキシログルカンが有するゲル化能に着目し、ベットサイドにおいて簡便かつ有効に褥瘡に対する治療やケアが行える、新しい概念からの被覆材や製剤を開発し、臨床応用へ展開することを目的とする。つまり、キシログルカンを主とした溶液をゲル化させ、そのゲル強度やゲル化時間をコントロールすることで、溶液状態で創傷面に流し込んだものが即時にゲル化し被覆できる被覆材や製剤の開発の着想に至った。本年度は、キシログルカン-白糖溶液に添加することでゲル化を促進させる化合物のスクリーニングとそのゲル化時間やゲル強度など物性変化とそのメカニズムの解明に関して検討した。スクリーニングの結果、化合物としてはポリエチレングリコール(PPG)、ポリプロピレングリコール(PPG)、グリセリン、エピガロカテキンガレート(EGCG)がゲル化時間をコントロールできるうる添加剤であることが判明した。また、それぞれ水素結合に関与する水酸基等の数や構造的な違いにより添加量にさがあり、それに伴うゲル強度などへの物性などにも影響することがわかった。検討した添加剤において共通する点は、添加量に適正値があり、それを添加量が多すぎると均一なゲルにはならないことが判明した。またPEG、PPGに関しては分子量依存的にゲル化時間が早くなり、強度も高くなることがわかった。PPGはジオール型とトリオール型ではゲル化や強度に関して違いが判明した。低分子グリセリンはゲル化するための添加量が多いものの、そのゲルは透明性が高く比較的柔らかいゲルが形成されることがわかった。ポリフェノールであるEGCGは一番少ない量でゲル化を促進できることが判明した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
キシログルカン-白糖溶液をゲル化しうる化合物のスクリーニングやスクリーニングした化合物による、ゲル化時間やゲル強度など物性変化等は概ね終了した。スクリーニングの結果、添加剤としてはPEG、PPG、グリセリン、EGCGが良いのではないかと考え、その添加剤を中心検討した結果を下にすれば、ゲルの物性に関する添加剤の影響などを予想できると考えられる。それにより、今後の製剤化などにつなげられると考えられる。
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今後の研究の推進方策 |
ゲル化に関するメカニズム等の解明に関しては、今年度もお引き続き検討を行う。また、製剤化を行い、製剤学的試験によるその特性の解明や治療効果等に関しては、申請書に記載の通り推進する予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
学会発表などの旅費としての申請を行っていたが、本研究内容に該当する学会に参加できず、その分使用額に差が生じた。また、学内異動が有り、一次的にに実験をストップさせたので、それも金額に差を生じた原因かと考えられる。
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次年度使用額の使用計画 |
主に消耗品の購入が増える点と学会発表やサンプルを測定するための旅費に使用することを計画している。
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