平成27年度は、アムロジピンベシル酸塩、アミトリプチリン、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ドネペジル塩酸塩、イミプラミン、トリメブチン、エリスロマイシンエチルコハク酸塩、レバミピド、ジクロフェナクナトリウム、エトドラクの苦味・収斂味の評価とクロロゲン酸による医薬品の苦味抑制評価を目的とし、味覚センサ応答値の主成分分析結果をマップに示した。味覚センサはSA402B(株式会社インテリジェントセンサーテクノロジー)、αASTREE(Alpha M.O.S.)を用いた。苦味の標準物質であるキニーネ塩酸塩は濃度依存的にX軸右方向にシフトした。一方、収斂味の標準物質であるタンニン酸は濃度依存的にY軸下方向にシフトした。X軸 (主成分1) は苦味を、Y軸 (主成分2) は収斂味を示すことが考えられた。アムロジピンベシル酸塩、ジフェンヒドラミン塩酸塩、ドネペジル塩酸塩は低濃度でもマップの下側に位置したことから、収斂味の強い医薬品であることが予測された。 また、α-ASTREEを用いてクロロゲン酸による各医薬品の味変化を予測した。医薬品とクロロゲン酸の混合試料と、クロロゲン酸単独試料とのユークリッド距離はクロロゲン酸混合濃度依存的に短縮し、医薬品の味がクロロゲン酸の味に近づくことにより医薬品の苦味がマスキングされることが示唆された。10種の医薬品のうち比較的強い苦味、収斂味を呈することが示唆された医薬品0.1 mMに対してはクロロゲン酸0.5~1.0 mM、その他の医薬品0.1 mMに対してはクロロゲン酸0.3~1.0 mMにより、医薬品の苦味、収斂味をマスキングできることが示唆された。
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