核内受容体PXRは薬物動態関連分子の発現調節に深く関与しており、この分野で精力的に研究が進められている。一方、CD4陽性T細胞においてPXRの発現が報告されているものの、その機能については解明されていない。そこで、CD4陽性T細胞サブセットのバランス改変や免疫疾患の制御にPXRリガンドを応用するための分子基盤を構築するために、免疫調節因子としてのPXRの役割を明らかとすることを目的として本研究を行った。 まず、DO11.10 Rag2欠損マウスから採取したCD4陽性細胞と抗原提示細胞を、抗原や各種T細胞サブセットの培養に必要なサイトカインと共にin vitroで培養して分化させ、精製した細胞において、PXRの発現を確認したが、いずれのサブセットにおいてもPXRの発現は確認できなかった。そこで、PXRの発現を誘導し、T細胞に作用することが知られているデキサメタゾンで処理を行った。しかしながら、いずれのサブセットにおいても各T細胞に特徴的なサイトカインの抑制は確認されたものの、PXRの発現誘導はみられなかった。 次に、正常マウスにPXRを誘導することが知られているPCNを投与し、PXRリガンドが種々のサブセットの発現に与える影響について検討を進めた。薬物代謝に関連する他の核内受容体のリガンドを投与し、これらの発現についても並行して測定を行った。PCNを暴露したマウスにおいては、コントロールと比較し、大きな変化はみられなかったものの、並行しておこなったある核内受容体に対するリガンドXはCD4陽性T細胞サブセットの割合を変化させる可能性が示唆された。
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