研究課題/領域番号 |
26860123
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研究機関 | 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部) |
研究代表者 |
山本 吉章 独立行政法人国立病院機構(静岡・てんかん神経医療センター臨床研究部), その他部局等, その他 (60596245)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 臨床 / 新規抗てんかん薬 / 血中濃度モニタリング / てんかん / 薬物相互作用 |
研究実績の概要 |
近年,トピラマート,ラモトリギン,レベチラセタムなど新世代抗てんかん薬が次々と市販され難治てんかんの薬物治療は大きく変化している.本研究は新世代抗てんかん薬の体内動態に影響を与える患者因子および併用抗てんかん薬を探索すると同時に,難治てんかん患者における新世代抗てんかん薬の有効血中濃度領域を明らかにすることを目的とした. ラモトリギン服用患者709名の血漿中濃度を解析したところ,バルプロ酸の併用によってラモトリギンの濃度は2倍以上に上昇し,フェニトイン,フェノバルビタール,カルバマゼピン(薬物代謝酵素誘導作用を有する抗てんかん薬)の併用によって半分以下に低下した.さらにラモトリギンの血漿中濃度はUGT1A4 142T>Gアレルを有すると低下し,UGT1A4 -161C>Tアレルを有すると上昇した.続いてトピラマート服用患者446名の血漿中濃度を解析したところ,酵素誘導作用を有する抗てんかん薬の併用によってトピラマートの濃度は半分以下に低下し,スチリペントール(CYP3A4の阻害剤)を併用することによって上昇した.焦点性てんかん,症候性全般てんかん,ドラベ症候群,レンノックス・ガストー症候群のトピラマート治療濃度の中央値はそれぞれ5.4,4.6,4.7,5.2μg/mLであった. トピラマートとラモトリギンの体内動態は併用抗てんかん薬の影響を強く受けることが明らかになった.てんかん分類別,症候群別に新世代抗てんかん薬の治療濃度範囲を比較したが,明らかな差は認められなかった.今後レベチラセタムの体内動態と治療濃度を明らかにすることによって,新世代抗てんかん薬の治療効果の向上を目指す.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2014年度はラモトリギンの体内動態に影響する因子を同定して,血漿中濃度を推定する回帰式を構築した.2015年度は122名の患者のUGT1A4とUGT2B7の遺伝子多型を測定し,UGT1A4 142T>GおよびUGT1A4 -161C>Tがラモトリギンの体内動態に影響を与える因子であることを報告した. 2015年度は難治てんかん患者446名のトピラマート血漿中濃度を解析し,体内動態に与える影響因子と有効血中濃度を同定した.また,2015年12月までに2,499名の患者から12,588ポイントのレベチラセタム血漿中濃度を測定した.
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今後の研究の推進方策 |
2015年度の研究成果「トピラマートの体内動態に与える影響因子と有効濃度の探索」を国際学会で発表し,論文投稿する予定である.レベチラセタム血漿中濃度については,データクリーニングと患者背景の調査を行い薬物動態解析と有効濃度の解析を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
必要に応じて研究費を執行したが,当初の見込み額と少し異なり,若干の残金が生じた.
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次年度使用額の使用計画 |
研究計画の変更はない.前年度の研究費を含め,予定通りの研究を進めてゆく.残金は2016年に開催される国際学会(参加登録,抄録登録済み)の参加費(2015年度に支払済み)として計上する予定である.
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