研究課題
本研究では、1)走査電子顕微鏡(SEM)によるゴルジ装置の極性観察法の確立、2)ゴルジ装置の3D再構築像の作製と解析、3)免疫組織化学手技の応用、について検討した。1)SEMによるゴルジ装置の極性観察法の確立:ゴルジ装置には、シスとトランスの極性が存在する。しかしながら、SEMによる形態観察だけでは、その極性を同定することは困難である。そこで、オスミウム染色法とオスミウム浸軟法を組み合わせた新たな手法を開発した。この手法を用いることで、ゴルジ装置の極性だけでなく、小胞体やミトコンドリアなどの周囲の膜性小器官の3D微細構造も解析することが可能となった(Koga et al., 2016)。2)ゴルジ装置の3D再構築像の作製と解析:本研究では、性腺刺激ホルモン産生細胞、成長ホルモン産生細胞などの内分泌細胞や、膵臓や唾液腺などの外分泌細胞のゴルジ装置の3D全体像の解析を行った。その結果、内分泌細胞と外分泌細胞のゴルジ装置の形態的共通性と多様性が明らかになった。ゴルジ装置は、1つの連続した構造体であることもわかった。3)免疫組織化学手技の応用:連続切片SEM法に免疫組織化学法の応用を試みた。組織を水溶性の樹脂であるLR whiteに包埋することで、切片に免疫組織化学処理を施すことが可能となった。現在は、連続切片にホルモンや一部の分子の局在を金コロイド標識することに成功している。今後は、ゴルジ装置に関連する様々な分子の局在を加味した3D再構築像の作製を目標としている。
すべて 2017 2016
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 4件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (7件) (うち招待講演 3件)
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