本研究課題では、エンドサイトーシスの一つで非選択的な液相性のとりこみであるマクロパイノサイトーシスについて解析を行っている。本研究の特徴は、先行研究により確立した顕微鏡下における任意のマクロパイノサイトーシス誘導実験系(PA-Rac1実験系)を利用している点である。前年度までの研究により、PA-Rac1により誘導されたマクロパイノサイトーシスは、従来型とは異なる特徴(Rab10陽性、Rab5陰性、チューブの出芽)を有していることが明らかとなっている。今年度は、このRab10陽性のマクロパイノゾームから出芽するチューブ構造に注目し解析を行った。 PA-Rac1を用いたRAWマクロファージのライブイメージングにより、Rab10陽性マクロパイノゾームから出芽するチューブ構造は微小管に沿って核近傍領域に伸長すること、さらに、Rab10陽性のチューブ構造の一部が細胞外と行き来のある開いた状態であることを見出した。また、Rab10のエフェクター分子であるEHBP1の結合タンパク質でありチューブ形成に関与するEHD1がRab10陽性のチューブ構造に局在することが明らかとなった。PA-Rac1を用い、顕微鏡下でRac1の活性化を時間的に制御することで、Rab10陽性のチューブ構造の出芽は、Rac1の活性が高いときには起こらず、Rac1の活性が低下する必要があることが示された。以上のことから、Rab10陽性マクロパイノサイトーシスから出芽するチューブ構造の特徴が明らかとなった。
|