研究課題
オートファジーは、細胞内の不要なタンパク質や細胞小器官を隔離膜により取り囲みリソソームへ輸送する分解機構である。我々は、低酸素/脳虚血負荷後に誘導されるオートファジーが神経細胞死の一因となることを見出している。一方で、Toll様受容体2(TLR2)遺伝子欠損マウスにおいても障害後、早期炎症性サイトカインの発現が抑制されることで神経細胞死が減少することを明らかにした。本研究では、まずTLRとオートファジー誘導の関連性を確認するため、TLR2遺伝子欠損マウスの障害6時間後の海馬においてオートファジー誘導の指標となるLC3のI型からII型への転換をウェスタンブロット法により検討した。結果、TLR2遺伝子欠損マウスでは、野生型マウスで認められたオートファジーの誘導が抑制されていることが示唆された。一方、オートファジー不全マウスであるAtg7遺伝子欠損マウスでは、TLRの下流で誘導される早期炎症性サイトカインの発現が抑制されていた。以上の結果より低酸素/脳虚血負荷後、TLRの活性化とオートファジーの誘導は相乗的に惹起され神経細胞死を引き起こすことが示唆された。また、より詳細に神経細胞死の機序を解明するため、2013年度包括脳リソース・技術支援「遺伝子改変マウス作製ドライバーマウス支援」により、新潟大学崎村建司教授と共同でTLR2、4のfloxedマウスを作製した。以上の結果の一部は「American Journal of Pathology誌」に報告した。
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American Journal of Pathology
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Biochemical and Biophysical Research Communications
巻: 469 ページ: 405-411
10.1016/j.bbrc.2015.12.002