研究課題/領域番号 |
26860141
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研究機関 | 国立研究開発法人理化学研究所 |
研究代表者 |
永田 健一 国立研究開発法人理化学研究所, 脳科学総合研究センター, 基礎科学特別研究員 (50587798)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | DINE / 先天性関節拘縮症 / 運動神経 / 軸索分岐 / ノックインマウス |
研究実績の概要 |
膜貫通型プロテアーゼDINEのヒトホモログの変異は先天性関節拘縮症を引き起こすことが分かっている。ヒトホモログ変異の機能的意義を明らかにするため、前年度に、ゲノム編集技術CRISPR/Cas9システムを用いて、変異をマウスへと組み込んだ。3系統の樹立が確認できたので、今年度はそれらの変異マウスの表現型解析を行った。DINEの760番目のシステインをアルギニンに置換したノックインマウス(Cys760Arg)は生直後に呼吸ができず死に至った。運動神経特異的にGFPを発現するHb9::GFPトランスジェニックマウスとの交配により、運動神経を可視化したところ、胎生期の横隔膜において運動神経の軸索分岐が著しく低下していた。DINEノックアウトマウスと同様に、変異マウスは運動神経の発達異常により、呼吸ができず死に至ると考えられた。また、横隔膜のみでなく、上肢、下肢でも運動神経の軸索分岐が著しく低下していた。CRISPR/Cas9によるoff-target効果は認められなかった。これらの結果は、原因不明の先天性関節拘縮症が運動神経の発達異常により発症することを示唆する初めてのものであった。さらに、Cys760Glyも同様の表現型を示したため、760番目のシステインがDINEの機能に必須であることが分かった。別の変異マウスGly607Serでも同様の運動神経の異常が確認され、現象が一般化できることが明らかとなった。これまでのところ系統間の表現型に明らかな差はみられていない。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
ゲノム編集技術を利用して作製したノックインマウスの表現型解析が当初の計画以上に順調に進み、次年度に予定していた一部の実験まで既に終了している。
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今後の研究の推進方策 |
なぜDINEタンパクの1アミノ酸が置換しただけで運動神経の発達に異常がみられるのか、その原因を変異ごとに翻訳後修飾、局在など多角的に調べる。
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