研究課題/領域番号 |
26860161
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研究機関 | 帝京大学 |
研究代表者 |
太田 大樹 帝京大学, 医療技術学部, 助教 (10712432)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 侵害受容器 / 痛み / 筋・筋膜性疼痛 |
研究実績の概要 |
骨格筋に由来する痛み(肩こり、腰痛等)は、我が国において罹患率が極めて高く、医学的・社会的に重要度が高い。「非活動性侵害受容器」は炎症等の病態時にはじめて活性化する特徴を持ち、骨格筋の痛みの末梢神経機構に重要であると考えられている。しかし、骨格筋においてその存在は実証されておらず、病態時の役割や活性化機構も明らかになっていない。本研究の目的は、骨格筋における「非活動性侵害受容器」の存在の実証とその活性化機構の解明である。 今年度(平成26年度)は、実験機器の整備や長時間にわたって安定した動物管理をうまく行うことができない等の問題があり、本格的なデータを取り始めるのが遅れてしまったが、同時により安定的に実験を進められるよう実験機器の整備・改善に取り組み、実験成果が得られ始めた。 具体的には、正常動物において、骨格筋侵害受容器の電気刺激による軸索伝導特性と痛み刺激に対する反応特性を解析し、「非活動性侵害受容器」が占める割合を調べた(H26計画の実験1)。その結果、ADCCV(活動依存的伝導速度変化)から以下3タイプに大別された((1) ADCCV 0%:約半数、(2)ADCCV 5~10%遅延:約3割、(3)ADCCV 15~20%遅延:約1割)。よって、割合は低いものの「非活動性侵害受容器」と判定可能な神経が存在することが判明した。ただし、まだ検討数が十分とは言えず、平成27年度は同計画を引き続き進めるとともに、感作候補物質の投与や病態動物での検討を早急に開始する予定である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
今年度(平成26年度)は、本実験において最も重要となる記録波形の弁別装置が老朽化により満足に使用できなくなり、新たに記録系装置を購入した。その他、生体管理に必要不可欠となるポリアンプに不備が見つかりその整備に時間を要したため、本格的なデータがとれるようになるまでに時間がかかった。
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今後の研究の推進方策 |
研究室のセットアップは整い、実験データを定常的に記録できるようになった。 今後は以下の方法で実験を進める。 (1)正常動物における全細径神経中における「非活動性侵害受容器」の割合を引き続き調べ、「非活動性侵害受容器」と判定された神経については感作物質を投与し、新たに活動性を獲得する神経の割合を調べる。 (2)病態モデルとして完全フロイントアジュバント(CFA)モデルにおいて、(1)と同様に「非活動性侵害受容器」の割合を調べる。併せて同神経の活動性を惹起させる感作物質の阻害物質を投与し、活動性が消失するか調べる。
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次年度使用額が生じた理由 |
今年度(平成26年度)は、その他財団の基金に採用され、実験用動物や旅費はそちらから支出した。また、電気生理用小型パーツや微細手術器具は、本学の別研究者から譲渡されることとなり、購入額を当初予定から削減した。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、実験用動物と定期的に使用が必要となる電気生理実験用薬品類の購入に充てる予定である。
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