研究課題/領域番号 |
26860162
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研究機関 | 聖マリアンナ医科大学 |
研究代表者 |
福島 篤 聖マリアンナ医科大学, 医学部, 助教 (10442716)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | エストロゲン / Neuropeptide Y / GPER / 視床下部 / 代謝 / 受容体 |
研究実績の概要 |
平成26年度からの2年間で、NPYニューロンのある集団はG-protein-coupled estrogen receptor 1 (GPER)を発現して代謝調節機能に関与していることを明らかにすることを目的とした。平成26年度は、まず初めにGPERの選択的なアゴニストであるG1を、卵巣摘除したラットに投与した。その結果、情動行動と思われるオープンフィールドテストには影響を及ぼさなかった。また、酸素消費量にも影響を及ぼさなかったことから、末梢に対する作用はないと考えられた。にもかかわらずG1投与は、グルコース投与による耐糖能を低下させた。これらのことから、視床下部のNPYニューロンの関与を考えた。そこでNPYニューロンの選択的な破壊を考えた。C57BL/6J-TG(Npy-IL2RA/mVenus) 984-2 Kobaマウス (以下NPY-Venus)の視床下部弓状核におけるNPYニューロンはmVenusの蛍光を発光するのみならずイムノトキシン投与によりその細胞体を選択的に破壊できる。そこでまず、mVenusとNPYニューロンの同定をin situ hybridization法を用いて行った。その結果、mVenusの蛍光細胞の約90%以上はNPYニューロンであることを確認した。すなわち、mVenus陽性ならNPYニューロンといえる事が明らかとなった。次に、GPER抗体を用いて、免疫染色法によりmVenus陽性NPYニューロンとの共局在を検討した。その結果、視床下部弓状核にあるmVenus陽性NPYニューロンの約80%はGPER陽性細胞であることがわかった。次に、耐糖能に対するGPERの役割を検討するために、GPERの選択的なアゴニストであるG1を、卵巣摘除して高脂肪食を3週間負荷した雌性マウスに末梢投与した。その結果、G1の容量依存的に耐糖能に影響する可能性を発見した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
概ね予定通り進んでいるが、イムノトキシン投与によりNPYニューロンを選択的に破壊する実験と、その状態でG1 の作用を検討する実験が済んでいない。C57BL/6J-TG(Npy-IL2RA/mVenus) 984-2 Kobaマウスは、視床下部NPYニューロンを選択的に破壊し、その状態でGPERの代謝における役割を明らかにする目的で導入した本研究の骨格であるので、実験自体は遅れていると言わざるをえない。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、交配させるマウスの匹数を増やし、NPY-mVenusマウスの匹数を揃え実験を行う。すなわち、C57BL/6J-TG(Npy-IL2RA/mVenus) 984-2 Kobaマウスの視床下部NPYニューロンを選択的に破壊し、その状態でGPERの代謝における役割を明らかにする。
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次年度使用額が生じた理由 |
国際学会参加のための旅費を予算計上したが、学内の研究助成により参加したため。
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次年度使用額の使用計画 |
次年度は、当初計画していた学会以外にも参加し、積極的に研究成果を発表する。
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