研究課題
本研究課題では、c-fos 遺伝子に改変緑色蛍光タンパク遺伝子 (enhanced green fluorescent protein; eGFP) を挿入した遺伝子改変動物であるc-fos-eGFPトランスジェニックラットを使用した。このトランスジェニックラットでは、中枢神経系において、活性化したニューロンを c-fos-eGFP の緑色蛍光タンパクの発現を指標に可視化することができるため、活性化したニューロンを生細胞の状態で同定することができる。今回、我々は、このトランスジェニックラットが疼痛の受容・調節機序の解明に有用であることを明らかにするため、急性疼痛刺激後のトランスジェニックラットにおける c-fos-eGFP の発現動態と野生型ラットにおける Fos タンパクの発現動態を比較した。その結果、急性疼痛刺激後の c-fos-eGFP 発現のピークは、脊髄後角では 6 時間後、視床下部では 3 時間後であり、Fos タンパク発現のピークは、脊髄後角および視床下部で 1.5 時間後であった。また、視床下部オキシトシン (OXT) ニューロンを免疫組織化学的染色法で染色し、急性疼痛刺激後の視床下部 OXT ニューロンの活性化を評価したところ、c-fos-eGFPトランスジェニックラットにおいて野生型ラットより高感度に活性化した OXT ニューロンを検出することができた。さらに、c-fos-eGFPトランスジェニックラットにおいて、eGFP を指標とすることにより生細胞の状態で急性疼痛刺激後に活性化した脊髄および視床下部のニューロンを同定することができ、c-fos-eGFPトランスジェニックラットが疼痛の受容・調節機序の解明に有用であることが示唆された。
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すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 謝辞記載あり 2件) 学会発表 (5件) (うち国際学会 2件)
Journal of Oral and Maxillofacial Surgery
巻: in press ページ: in press
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Neuroscience Research
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