研究課題
平成27年度以前には、タバコ煙ガス相水抽出物が、プロテインキナーゼC(PKC)依存的に活性酸素種の産生を誘発してラットC6グリオーマ細胞に対して細胞傷害を引き起こすこと、タバコ煙水抽出物中の細胞傷害因子が、不飽和カルボニル化合物であるアクロレイン・メチルビニルケトン・2-シクロペンテン-1-オンであることを見出した。また、タバコ煙水抽出物による細胞傷害を抑制できる物質として、還元型グルタチオンやN-アセチルシステインなどを同定した。また、還元型グルタチオンやN-アセチルシステインは、不飽和カルボニル化合物と直接反応することで、不飽和カルボニル化合物による細胞傷害を抑制していることを見出した。そこで平成28年度には、主に血管構成細胞・血液系細胞に対するタバコ煙ガス相や不飽和カルボニル化合物の影響を検討することとした。臍帯静脈内皮細胞・血管平滑筋細胞・マクロファージ・単球細胞のタバコ煙ガス相に対する感受性を検討したところ、血管平滑筋細胞・単球細胞は、高い感受性を示した。一方、臍帯静脈内皮細胞・マクロファージは、タバコ煙ガス相に対して抵抗性を示すことが分かった。以上の結果から、タバコ煙ガス相は、血管平滑筋細胞や単球細胞に影響を及ぼすことが示唆されたので、これらの細胞を研究対象とした。血管平滑筋細胞におけるPKCの発現を確認したところ、PKCalpha・PKCdelta・PKCepsilon・PKCiotaの発現が見られたので、これらのPKCサブタイプに対するタバコ煙ガス相や不飽和カルボニル化合物の影響を調べた。その結果、タバコ煙ガス相や不飽和カルボニル化合物は、PKCalphaとPKCdeltaの活性化(細胞膜移行)を誘導することが判明した。更に、不飽和カルボニル化合物処理により、細胞内のPKCの活性が上昇することをin vitroキナーゼアッセイにより示した。
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