研究課題/領域番号 |
26860168
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研究機関 | 佐賀大学 |
研究代表者 |
川口 真一 佐賀大学, 農学部, 特任助教 (00722894)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | 低酸素誘導因子 / 構造活性相関 / 低分子化合物 / 虚血性疾患治療薬 |
研究実績の概要 |
本研究では、タンパク質であるHIF(低酸素誘導因子)を活性化することにより、虚血性疾患治療に有効である先行研究のもと、HIFを穏やかに着目するタンパク質としてFIH(Factor Inhibiting HIF)に着目し研究を行ってきている。これまでの研究で、ドッキングシュミレーションによる設計により作成したフランもしくはチオフェン誘導体(化合物A)が実際にHIFを活性化することを見いだした。そこで、この化合物をリード化合物とし、種々の化合物合成を行った。フランもしくはチオフェンとグリシンエチルエステルを基本骨格に比較的に容易に置換可能な側鎖を導入した化合物を得た。また、複雑な化合物からスタートするといった工夫や、遷移金属触媒クロスカップリング反応などを利用し、従来、最終生成物の数だけあった合成中間体を共通の骨格を使用できるように工夫するなど、合成の効率化を徹底的に図り、50種を超える新規化合物を得た。これら合成して得た化合物を昨年度作成した細胞株を用いたルシフェラーゼアッセイによる評価系を用いて、HIFの活性化評価を行った。その結果、いくつかの化合物でHIFを活性化するという結果を示した。そこで、それらの化合物の構造と活性の相関を考察したところ、アミノ酸側鎖と置換基の嵩高さとフランもしくはチオフェンの5位の置換基の嵩高さと活性に大きく相関が見られることが明らかとなった。更にこの結果をドッキングシュミレーションにフィードバックし、再検討したところ、構造活性相関の結果を支持する結果となった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度の研究をすすめる上で最も苦労した点は新規化合物の合成である。複雑な化合物からスタートするといった工夫や、遷移金属触媒クロスカップリング反応などを利用し、従来、最終生成物の数だけあった合成中間体を共通の骨格を使用できるように工夫するなど行ったが、最終生成物が新規化合物でありそれぞれ物性が異なるため、操作の面で工夫を要したり、最終段階での反応が予想どおり進行しないなどのトラブルが有ったが、その都度代替法を利用するなど検討することにより多種の化合物の合成を達成した。
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今後の研究の推進方策 |
当初の予定通り、より高活性な化合物を得ることを目的に、今後もさらに多種の新規化合物の合成を進める。高活性な化合物については細胞を用いた毒性評価を行う。 また、in vitroでの評価が高いものについてはマウスでの評価を行う予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
研究は概ね順調に進んでおり、化合物合成に使用する試薬や溶媒の量を減らすといった工夫をした結果、当初の計画に比べ、少しだけ使用額が少ない状態で次年度を迎えることができた。
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次年度使用額の使用計画 |
今後は、大量合成の需要が生じるので、試薬代として物品費がかかると考えられ、予算を全て使用できると考えている。
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