研究実績の概要 |
本研究は、生理活性脂質の1種であるリゾホスファチジン酸の第4受容体(LPA4)特異的アンタゴニストが2型糖尿病の新規創薬ターゲットとなりうると考え、生体への適用が可能な特異性・親和性に優れたLPA4アンタゴニストを得ることを目的としている。平成26年度は、東京大学創薬オープンイノベーションセンター保有の化合物ライブラリー(約20万のサンプルから構成される)よりリード化合物を得る計画であった。化合物のアンタゴニストとしての活性は、LPAに対する応答を示さないラット神経芽腫細胞株B103細胞にLPA4を安定的に過剰発現させ(B103-LPA4細胞)、LPA4-Gq経路による細胞内カルシウム応答の阻害効果を指標として受容体依存的な応答を検出した。 候補化合物の一次評価では、n = 1 で多検体のアッセイを行った。その結果、約1万の化合物から構成されるコアライブラリーから、91の化合物を絞り込んだ。次に、二次評価として、n = 4 での再現性と特異性を評価し、さらなる絞り込みを進めた。特異性の評価は、LPA の代わりに ATP を作用させた際に阻害効果が認められた化合物を LPA4 非特異的な反応を引き起こしているとして、候補から除外した。その結果、18化合物を候補化合物として同定することができた。これら18化合物に関しては、約20万のサンプルから構成されるフルライブラリー中の類縁体も評価の対象とし、計115化合物の特異性・親和性を検討した。特異性・親和性の評価は、LPA刺激によるカルシウム応答が認められる他のLPA 受容体(LPA1, LPA2, LPA3, LPA5)に対する化合物の用量依存的な応答を検討することで行った。その結果、LPA4特異的なアンタゴニスト活性をもつと考えられる37化合物を同定することが出来た。
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