尿中LCN2は腎障害を早期発見するバイオマーカーとして知られ、急性腎障害に高感受性をもつ指標である。しかし、LCN2は全身性に存在し、腎障害と併発する様々な組織障害においても検出される問題がある。本研究では尿特異的に見られる高分子量型LCN2の由来組織、産生機構、および分泌メカニズムの解明を試みた。炎症モデルマウスのLCN2の糖鎖型は尿、血清、腎臓などでは複合型であったが、肝臓などでは混合型であった。また、尿中高分子量型LCN2は血中より高度に糖鎖が付加され、腹腔内炎症で出現することが分かった。このことから、LCN2は多様な糖鎖を持ち、尿中LCN2の分子量は病態により異なることが考えらえた。
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