研究課題/領域番号 |
26860176
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研究機関 | 大阪医科大学 |
研究代表者 |
田代 圭太郎 大阪医科大学, 医学部, 助教 (20645527)
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研究期間 (年度) |
2014-04-01 – 2017-03-31
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キーワード | NASH / キマーゼ / TGF-β / MMP-9 / メカニズム |
研究実績の概要 |
10週齢雄SHRSP5/Dmcrラットを普通食群(対象群:n=6)・高脂肪高コレステロール(HFC)食負荷群(HFC食群:n=8)・HFC食負荷+キマーゼ阻害薬投与群(投薬群:n=8)の3群に分け、8週間後に解析した。肝重量・血液検査・一般染色および免疫染色による肝組織像の比較、各種遺伝子をreal time-PCRで解析した。3群間に血圧・体重に差はなかった。3群とも高血圧を認めた。平均肝重量は対象群で11.2g、HFC食群で31.5g、投薬群で28.0gと有意に改善していた。AST/ALTは対象群に比べHFC食群・投薬群とも有意に上昇していた。総コレステロールは対象群に比べ、HFC食群で有意に上昇し、投薬群で有意に改善していた。中性脂肪は対象群に比べ、HFC食群で有意に低下し、投薬群ではHFC食群に比べさらに低下していた。HE染色にて、HFC食群で有意な脂肪沈着を認め、投薬群で肝脂肪沈着の有意な減少を認めた。Sirius red染色にて、HFC食群で線維の有意な増加を認め、投薬群は線維化の有意な改善を認めた。肝の遺伝子解析にて、投薬群はHFC食群に比べTGFβ・MMP-9とも有意に改善していた。また投薬群はHFC食群に比べcollagenⅠおよびcollagenⅢの有意な改善を認めた。脂質分解酵素であるPPARαは対象群に比べHFC食群・投薬群とも有意に低下していた。脂質の合成酵素であるSREBP1cは対象群とHFC食群で同じであり、投薬群のみで有意に低下していた。RMCP1(キマーゼ遺伝子)は対象群に比べHFC食群・投薬群ともに有意に高かった。TNFαは対象群に比べHFC食群・投薬群ともに有意に高かった。キマーゼ阻害薬の投与によりNASHの予防効果を認めた。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初、ハムスターでの実験を予定していたが、遺伝子解析やタンパク発現の解析に必要や抗体の入手が困難であった為、SHRSP5/Dmcrラットを使用した実験に移行した。ラットにおけるNASHモデルを作成し、PCR、免疫染色を中心にメカニズムを解析しており、有意差をもった研究成果を得ている。今後はさらに研究を進め、データを解析・考察して論文作成をおこなう予定である。
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今後の研究の推進方策 |
線維化・脂肪肝は抑制できているが、AST/ALTの改善がなかった。またTNFαが抑制できておらず、脂肪織炎が抑制されていないため、長期モデル(16週)を作成し解析・検討する。 Veheicle群でTGFβ1が上昇しており、その下流であるsmad,αSMAはキマーゼの作用点ではない可能性がある。そのため、この上流を調べる必要がありAngiotensin Ⅱ、ACE、肝星細胞のアポトーシスを解析する。 RMCP1(キマーゼ遺伝子)発現は投薬群で抑えられていなかったが、negative feedbackにより遺伝子の増加が認められていると考えている。今後はキマーゼタンパクの活性を解析予定である。 これらの解析終了後、論文作成および学会発表の予定である。
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次年度使用額が生じた理由 |
本年度は実験に時間をかけたため、学会参加ができずに旅費が少なくなった。
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次年度使用額の使用計画 |
本年度は論文作成に使用する校正費用や投稿費用、追加実験に伴う物品費として使用予定である。また同時に国内外の学会にて研究成果を発表予定であり、旅費として使用する予定である。
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