研究課題
本研究の目的は、酸性グルコシルセラミド分解酵素GBA1を介したパーキンソン病(PD)発症の制御メカニズムを明らかにすることである。近年、GBA1の機能破綻がPD発症を引き起こすことが明らかになりつつある。申請者は最近、GBA1がグルコシルセラミド分解活性だけではなく、コレステロールへのグルコース転移活性を有し、新規生理活性糖脂質・β-コレステリルグルコシド(β-CG)を合成することを明らかにした。本研究は、GBA1によるβ-CG合成という新しい視点からPD発症の制御メカニズムの解明を目指し、1)β-CG解析システムの立ち上げ、2)脳からのβ-CGの精製および構造決定、3)疾患モデル分析、4)疾患発症の制御メカニズムへのβ-CGの関与の検証、5)疾患治療へのβ-CGの応用の可能性の検討という5つのステップで研究を進める。平成28年度は、ステップ4に取り組み、神経細胞から放出される細胞外顆粒エクソソームにβ-CGが濃縮されていることを確認した。パーキンソン病における神経変性の原因タンパク質の1つであるα-シヌクレインは、エクソソームを介して神経細胞間を輸送されることが明らかになっており、疾患進行に伴う原発巣からのα-シヌクレインの伝播による神経変性の拡大にエクソソームが関与する可能性が報告されている。今後、エクソソームを介したα-シヌクレインの伝播にβ-CGが関与するか否かに興味が持たれる。
すべて 2016
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (4件) (うち招待講演 2件)
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