研究課題
近年、ブロモドメインと呼ばれるクロマチン修飾の認識に関わる機能領域を標的とする薬剤は、新しいがんの分子標的治療薬として注目されている。Bromodomain containing 8(BRD8)は大腸がんで発現亢進を認め、抗がん剤の耐性に関与していることが報告されている。BRD8はブロモドメインを有することから、エピジェネティックな遺伝子発現調節に深く関わっているものと考えられるが、その標的となる遺伝子はほとんど明らかになっていない。本研究ではマイクロアレイによる遺伝子発現データ、ChIP-seq(Chromatin immunoprecipitation coupled with high-throughput sequencing)によるBRD8の結合ゲノム領域データ、さらにENCODEプロジェクトによって得られたChIA-PET (Chromatin Interaction Analysis by Paired-End Tag Sequencing)データを統合解析することにより、網羅的にBRD8が直接制御する遺伝子群を同定した。この遺伝子群には、がんの発生・進展に関わる重要なシグナル経路を制御する遺伝子が含まれており、実際、siRNAによるBRD8の発現抑制は、このシグナル活性を変化させた。BRD8はヒストンアセチル化酵素TIP60複合体の構成因子であることから、BRD8あるいはこの複合体を標的とする治療戦略は、新たながんの分子標的薬開発に役立つものと期待される。
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