大腸がんで発現亢進を認めるブロモドメインタンパク質BRD8は、エピジェネティックな遺伝子発現調節に深く関わっているものと考えられるが、その標的となる遺伝子は明らかになっていない。本研究では遺伝子発現データ、ChIP-seqデータ、さらにChIA-PETデータを統合解析することにより、BRD8が直接制御する49遺伝子を同定した。この遺伝子群には、がんの発生や進展に関わる重要なシグナル経路を制御する遺伝子が含まれていた。BRD8はヒストンアセチル化酵素TIP60複合体の構成因子であることから、BRD8あるいはこの複合体を標的とする治療戦略は、新たながんの分子標的薬開発に役立つものと期待される。
|